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現状では、全国の多くの地域で社会統一計画と個人口座を結び付けるという原則で年金保険制度を実施しているが、地域間で社会統一計画の範囲も異なり、省レベルで統一計画を実施しているところもあり、また市レベルで統一計画を実施しているところもある。改革の実態も地域間で格差があり、社会保険組織を設立して年金保険の社会化を図っているところもあり、従来どおり企業が年金を支払っているところもある。また、全国的にみると、幾つかの年金保険の管理体制に分かれている。民政部は農村の年金保険を、労働部(機構改革前)は都市勤労者の年金保険、人事部は公務員の年金保険を管轄しているなどである。産業別にもまた幾つかの年金保険が存在している。

中国では、現在進められている経済の市場化にともなって、今後も年金保険制度の引き続く改革と模索が続けられることになる。

 

3. 今後の人口動向―人口増加

 

建国当初の1949年、中国の人口はおよそ5億4000万であったが、1990年には11億4000万を超えるようになり、さらに1997年末には12億3600万に達している。この半世紀近くの間に実に7億近く、率にして2.3倍もの増加を見せている。1951〜57年の7年間は毎年2%乃至それ以上の率で人口増加を続けたが、1958年から1961年の間は人口増加が停滞し、1960年には人口マイナス成長という建国後に例を見ない現象まで現われた。この期間の人口増加の停滞や減少には自然災害等の要因が深くかかわっていた。

数年間の停滞を経て、中国人口はすぐに増加の勢いを取り戻し、1963年には建国後の最高値である3.3%の増加率を記録した。その後も中国人口は増加の勢いを緩めず、1962〜73年間にわたって自然増加率は年率2%以上の高さを保っている。

 

 

 

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