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農業用水に関するような長期化する危機状況とは、その性格にして異なるとはいえ、比較的短期的には工業用水の工業生産、ひいては経済成長への影響も無視しうるものではないし、生活用水の面では市民生活への面では量より質の面でのより深刻な影響が指摘されるのである。水危機→食料危機というループは地域的特徴もあって鮮明であるが、工業化都市化の水危機は変化はゆるやかではあるが、その規模は地球環境的意味でも遥かに大きい。

工業化が経済を豊かにすることによって、人口の扶養力を高めたがその結果としての人口の増加が工業を支える水資源に大きなインパクトを生じさせ、都市化が工業化と相俟ってエネルギー費増大を通ずる地球環境の変化をひき起して水資源の存在条件にも影響するという、いわば危機の循環が解決すべき課題となってきているのである。

 

(参考文献)

 

レスター・R・ブラウン「地球白書1998〜99」、「地球白書1993〜94」

国土庁「日本の水資源」(平成10年)、(6年)

世界資源研究所「世界の資源と環境1992〜93」

中西準子「水の環境戦略」

丸山茂徳・磯崎行雄「生命の地球の歴史」

産業研究所「経済発展と人的資源に関する調査研究」

大友篤・嵯峨座晴夫「アジア諸国の人口都市化」

U.N. “The State of World Population”

Sandra Postel・内嶋善兵衛 「欠乏時代の政治学-引き裂かれる水資源」

FAO “Roma Declaration on World Food Security and World Food Summit Plan of Action”

石弘之「地球環境報告」

APDA “Comparative Study of Population Policies in Asia-Focus on Eight Asian Countries-”

 

 

 

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