3 都市化と水資源
都市は古代においては交易の據点として形成されてきた歴史もあるが、本格的な都市化(都市在住人口の比率)の進展は、近年の産業社会への移行以来のことである。世界の都市化率は1975年の30%から80年40%、95年に45.3%と著しいものがある。
産業の立地には原料立地、消費地立地など、産業の性格によって差異があることは否定できないが、都市化と工業化とは相乗効果をもつものとしていわば楯の両面であり、経済的側面での工業化と社会的側面での都市化は密接に関連している。
都市化のテンポで、アジアが西欧より遅れていたことは上述の理由で説現できるであろう。しかし、アジアの都市化も別表にみられるよう、70年代以降、まさに工業化の本格化と歩調を合せるように急速に上昇してきた。2000年予測では、国別には都市国家であるシンガポール、香港の100%は別格としても、日本の87%、韓国の79%をはじめアセアン諸国も30〜50%、やや遅れていた中国も36%と見込まれている。
こうした都市化の進展を反映して、生活用水の年から2000年にかけて1.4倍、さらに2025年には1.9倍となるとする資源研究所の予測もある。国連の調査によれば、途上国における水供給の状態として、適切な水供給を受ける人口の比率は都市部の87%に対し農村部では33%に止まっているとされ、都市化による水供給の条件は都市化を阻害する要因とはなっていないことを示唆している。