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リスクも基本的には民間に移転させるという発想であり、リスク移転の具体的手段として業績に応じた支払いが行われる。3]は説明を要しないだろう。

初歩的な試案に過ぎないものの、介護保険制度下での社会福祉施設整備におけるPFIの適用方法を簡潔に整理すると、1]営利企業の参入を認める、2]施設の設計、建設、運営にかかわる従来型の整備方式における公費負担額を算出する、3]PFI方式として公募する、4]民間からの応募を受ければ、PFI方式と従来型との設計から運営まで含めた契約期間におけるコストを比較し(この際、将来の需要=利用者数= はかなり多く想定をせざるを得ない)、PFI方式の方が一定のサービス基準を満たした上で、より低コストで実施可能と判断される場合にPFI方式を採用する、5]総コスト、サービスの質、経営の安定性、イノベーションなどの評価基準を設けて各入札参加者に公表し、最終入札を評価、受注者を選定する、といった形となろう。

当然のことながら、現行法制上解決しなければならない点もあろうし、施設の所有権の問題、受注事業者の経営が悪化した場合の政府としての対処法、業績に基づく支払い方法の仕組みを具体的にどうするか-など検討課題は少なくない。ただし、業績に基づく支払い方法については、介護報酬と同様に建設費用も基本はサービス利用者数に応じて政府から支払われることとし、これに加え契約時に設定される各サービス基準の未達成度合いに応じて介護報酬、建設費用ともに削減される、といったことも検討されて良いだろう。

一方で、商業的施設も含む複合施設やサービス利用者自身の負担により購入できる付加的サービス等の提供を認め、こうした追加的収入の道を事業者に開くことによって公費負担を軽減するような仕組みも考慮されて良いだろう。

 

(参考文献=白川一郎・富士通総研経済研究所編著、NHKブックス「行政改革をどう進めるか」。PFIの行政資料については経済企画庁のホームページを参照)

 

 

 

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