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公的介護保険 入門講座 No.12

 

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<要介護認定の訪問調査はどのようにおこなわれるの?>

 

● 全国共通の調査票で実施

高齢者などが介護保険のサービスを受ける状態にあるのかどうかを決める要介護認定が、いよいよ今年の10月からそれぞれの市町村でスタートする。

高齢者や家族が市役所や町村役場などの窓口へ要介護認定の申請をすると、まず市町村の担当者あるいは市町村から委託を受けた介護支援専門員(ケアマネージャー)という専門家が、申請した人の自宅を訪問する。高齢者の日常生活の状態像を把握する調査を行うためだ。これが、かかりつけ医の意見書とともに、認定審査の大事な基礎データになる。

具体的に訪問調査はどのように行われるのだろうか。

調査は全国共通の調査票に基づいて進められる。高齢者や家族は、調査員から「寝返り」「排泄」「着脱」「摂食」「入浴」「調理」「掃除」「痴呆度」「医療的項目」などについて85の質問を受ける。質問によっては、その場で実際にやってみるように求められることもある。これらの回答は、コンピュータに入力して処理される。

また、調査票にはコンピュータに入力しない概況調査や特記事項の欄もあり、お年寄りが置かれている状況や、本人や家族か心配になったり不安に思っていることも記録される。もちろん、訪問調査の中身は、守秘義務で守られる。

 

● 調査員には普段と同じ態度で

私たちが訪問調査を受ける場合、どんな点に注意したらいいのだろうか。大事なのは、調査員に普段と同じ態度で接すること。質問に対しては、自分でできること、できないこと、なんとか自分でできること、少ししかできないことなどを、ありのままに正直に答えることだ。質問の意味がわからなければ、調査員に聞き直してよく説明してもらい、納得したうえで回答することも大切だ。

見栄や世間体で普段できないことまで「できる」と答えたり、逆により多くの介護サービスを受けたいために普殻できることを「できない」と回答するのはよくない。

また、家族が本人を目の前にして「物忘れがひどい」などと答えると、お年寄りを傷つけることになるので、こうした質問に対しては本人に聞こえない場所を選ぶ配慮が、家族や調査員に必要になる。

時間が限られた訪問調査だけでは、当事者の状態が十分に把握できないこともある。このため可能なら家族が普段の様子をメモしておき、調査時に役立てるのも一つの方法だ。

訪問調査は、単に調査員の質問にお年寄りや家族が回答する場ではない。介護を必要としているお年寄りや家族が気になっていることを伝える場でもある。高齢者の状態を正確につかんでもらうために、調査員には遠慮せずに何でも率直に話すようにしよう。

 

 

 

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