「二五〇〇円」は全国平均の数字
「厚生省に期待する介護保険の大胆な改革を!再び、問題提起と提言」
東京の武蔵野市は昨年の暮れ、こんな題名の『介護保険ブックレット』を十万部も刷り、市内全世帯の六万九一〇〇戸に配った。残りは国会議員はじめ厚生省、全国の市区町村長にも郵送した。
問題提起は、1]サービス不足のまま出発できるのか、2]いったいどのくらいのサービスが受けられるのか、3]コンピュータで人間の要介護度が計れるのか、4]保険料は月額二五〇〇円で済むのか、の四つ。中でも気になるのは保険料の金額である。来年四月からは直ちに介護が必要な高齢者もそうでない人も四〇歳以上の人なら毎月、保険料を支払わねばならないからだ。それもお年寄りは年金から天引きされ、現役のサラリーマンは健康保険料に上乗せする形で徴収されるのである。
意外と知られていないことだが、「二五〇〇円」とは、実は全国平均の金額。それも平成七年の物価水準で試算された数字である。その後の物価上昇を織り込めば、もっと高くなるはずだ。さらに介護保険料は国や都道府県が決めるのではない。三三〇〇市町村がそれぞれ独自に決めることになっている。国は、そのための手順や介護料金など全国共通の算定の基準を決め、実際にいくらにするかについては市町村が、地域の事情に応じて"自由"に決める。地域のお年寄りの人数、高齢者のための施設や在宅サービス体制の整備状況および首長が高齢者介護にどれだけ力を入れようとしているか否かなどによって大きく異なってくる。介護保険が地方分権の試金石といわれる所以である。
武蔵野市は昨年、介護費用の総額について試算した。介護費用の算定基準がまだ決まっていないので、あくまで推定だが、厚生省が示したモデル的な介護サービスを提供するとした場合、保険料は二七八一円となった。これに対して武蔵野市独自のモデル的なサービスを提供するとすると二九二六円になり、国の標準的なサービスに必要な保険料よりも一四五円高く