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がら、在宅での介護体制を整備すれば社会的入院はゼロにはできないまでも減らせると考える。

要介護度者を、在宅で支えていくには、本人・介護者・ケアマネージャー・かかりつけ医を中心とした医療・介護スタッフ・その他の関係者の理解と信頼が不可欠である。困難が予想されるとはいえ多くの専門職の連携体制の確立をめざす啓発活動を行うことで、この介護保険の導入をきっかけとして社会的入院を減らし、介護の場を「在宅」に戻すことが可能であると思う。

くり返すが、佐世保市は斜面が多く、階段や急な坂道といったバリアが、要介護者宅へのアクセスを悪くしている。同じ保険料を支払う被保険者にとっては、地形的条件によってサービス提供に差があってはならないが、現実的には、非常にむずかしい課題である。

たとえば、デイサービスあるいは配食サービスを行う事業者に対する報酬について、坂道加算といった考え方を制度化できるかどうか。そのための坂道認定があり得るだろうか。これらについては実態調査をするなどして可能な対処法や手段について、早急な検討が必要だと考えている。

 

 

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延々と続く180段の階段。健康な人でも一気には登れない。

 

(注)療養型病床群とは、長期の入院愚者のために病室や廊下を広くするなどして居住性に配慮して治療よりも介護を目的にした病院のこと。通常の病院に比べ医師や看護婦の数を減らして看護補助職を増やしている。一九九三年の医療法改正に伴って設置された。初めから改正医療法に従って新設する「完全型」と既存施設から転換する「転換型」があり、前者はリハビリ室を備え、アメニティーも高い。

 

 

 

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