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さわやか談義

 

 

病人を作らないことが介護

 

映画「名もなく貧しく美しく」などを監督した松山善三さんが、映画「一本の手」の脚本を書いた。

老人ホームを舞台にした作品で、一九九八年春に完成以来、すでに全国五百カ所以上で自主上映され、五〇万人以上が感動を共にした。自らの体験もあって、「介護」に強い関心を持つ松山さんに、介護保険への思いを伺った。

(インタビュアーは尾崎 雄)

 

 

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松山 善三(まつやま ぜんぞう)さん

映画監督・脚本家

(プロフィール)1925年神戸生まれ。岩手医学専門学校を中退。48年、松竹大船撮影所の助監督として入社。木下恵介監督に認められ、多くの脚本を手掛ける。監督としての第1回作品、61年の「名もなく貧しく美しく」は大評判となった。他に「われ一粒の麦なれど」「ふたりのイーダ」「典子はいま」など。

 

 

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映画「一本の手」より。(写真提供/『一本の手』製作委員会)

 

 

映画は、明るく楽しい終わり方に

 

松山さんには、介護、福祉問題を扱った映画作品が多いのですが、こういった重いテーマの映画を軽いタッチに作るにはどういう点に注意するのですか?

介護のような重いテーマの映画は、いい加減なフィクションではできません。映画の内容は、「孫引き」されても問題にならないように、正確でなくてはいけません。「一本の手」の中に描かれたことはすべて実話です。あんな幻覚や幻聴はあり得ないという人がいますが、私の姉がパーキンソン病でまだらぼけになった時、本当に幻覚幻聴が起こったのです。

 

 

 

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