日本財団 図書館


表紙絵から

 

 

池田げんえい/1946年神奈川県生まれ。日本児童出版家連霊会員。創作「鬼の会」同人。日本デザイナー学院講師。はり絵作家。

 

● 平成・東海道五捨三次

その47「亀山」

 

002-1.jpg

 

-駅前通り-

「おこん茶屋跡」を探し当てたあたりから頭痛と悪寒が仲良く手をつないでスキップなんぞし始めてしいる。そして昨日予約した亀山のホテルが妙に気になる。イヤな予感。何よりもフロントの婆サマの声にはがっくりきた。他の2軒に断られたのだから仕方ないが、ひどく神経質そうだ。とにかく頭痛と悪寒とイヤな予感と戦いながらガムシャラにホテルに向かう。七転八倒で亀山着は5時をはるかに回っていた。この「イヤな予感ホテル」ば駅脇0分、駆けて3秒のところにあった。ひどく品のない(ゴメンナサイ)ブルー4階建てビルで、1Fはエロチックなバー、2Fは喫茶店、フロントは3Fでエレベーターはない。昨日の婆サマがボクの顔を見るなり「歩いて来ると言ってた人やなあ」と"無茶しおって"とあきれ顔のしかめっツラをする。孫を見るような目付きの横山やすし婆さん、一発で気に入ってしまった!

 

002-2.jpg

亀山辺り現況

 

002-3.jpg

安藤広重絵「亀山」

 

前夜は大雪だったのだろうか、城の石垣も、松の幹や枝も雪にまみれている。静寂の中、旅の一行が朝焼けを背に急坂を登っている図。色の少ない画面の中で旅人の着物の藍色が印象的だ。

 

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION