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公的介護保険 入門講座 No.10

 

 

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<払った保険料はどこへ行くの?>

 

● 40〜64歳の人の保険料はいったん国にプールされる

介護保険を運営するのは市区町村だ。私たちが負担する大切な保険料はどのような経路で市区町村に流れ、地域の介護のために使われるのだろうか?それは極めて複雑な仕組みになっている。

65歳以上の高齢者(第1号被保険者と呼ぶ)のうち年金生活者か支払う保険料は年金から天引きされて社会保険庁に入り、同庁を通じて年金生活者の住んでいる市町村に納められる。一方、年金生活者でない第1号被保険者が支払う保険料はそのまま市町村の介護保険会計に納まる。

40〜64歳の人(第2号被保険者)が支払う保険料のうち、医療保険(健保組合、共済組合、政府管掌健保、船員保険)に入っている勤め人が支払う自己負担分に事業主が同額の保険料を上乗せし、また国民健康保険に入っている人の分には国が同様に同額を上乗せして、国の「社会保険診療報酬支払基金」に納められる。

納付された保険料は、いったん支払基金内に設けられる「介護保険特別会計」にプールされる(ためられる)。その後、国と県が出す公費を上乗せして各市町村に配分される。この際、公費の一部は、高齢化が進んでいる市町村に、より多く配分する仕組みになっている。

過疎高齢化の進んだ町村は保険料が高くなると心配する人もいるが、これによって、高齢化した市町村に住む高齢者の保険料が極端に高くなることは緩和されるといわれている。

 

● 赤字になったら保険料の値上げも

介護サービスの給付費が予想より増えてしまい、介護保険の財源が不足してしまったらどうなるのだろうか?

国の社会保険診療報酬支払基金の介護保険特別会計に不足が生じた場合は、国の補正予算や予備費で補てんすることになっているから心配ないはずだ。

また、市町村の場合、65歳以上の高齢者の支払う保険料が未納などの理由で不足したり、給付費が見込み違いで増えたりして赤字が発生した場合はどうなるか。都道府県に設置される「財政安定化基金」が、赤字になった市町村に必要な資金を貸与したり交付したりする。

実際の給付額が増えて、市町村が資金を借りた時は、3年に1度改定される介護保険料の見直しの時に65歳以上の人の保険料を値上げして返済することになる。従って住民は自分が住んでいる市区町村の介護保険財政が健全に運用されているかどうかしっかりと見守らないと、そのツケはわが身に降りかかってくるわけだ。

介護保険のお金の流れは市町村の担当者にもむずかしいが、その出どころは私たち市民。その流れを監視するのは市民の務めである。

 

 

 

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