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公的介護保険 入門講座 No.9

 

 

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<保険料を払えない、払わない人はどうなるの?>

 

● 生活保護に「介護扶助」も新設

介護保険は医療保険と違って、扶養家族になっている高齢者も保険料を払う。また、介護サービスを受ける時は、誰もが利用料の1割を自己負担する。

では、収入が少なくて保険料を払うのがむずかしい場合や、1割の利用者負担を支払えない時はどうだろう?

65歳以上の高齢者(第1号被保険者)で生活保護を受けている場合、保険料は免除されるのではなく、生活保護制度の給付の一つである「生活扶助」から支給される。また、介護サービスを受けた時は、生活保護法に新たにできる「介護扶助」から1割の利用者負担分が支払われる。

40〜64歳の人々(第2号被保険者)で生活保護を受けている場合は、保険料は免除されるので払う必要がない。介護サービスを利用した時の1割負担は「介護扶助」から支給される。

生活保護世帯ではないけれど、低所得の人たちの保険料については、市町村か条例で負担を軽減できるようになっている。また、1割の利用者負担が高額になった場合は払い戻しか受けられ、介護保険施設での食費は減額される。

 

● 償還払いや給付の一時差し止め

一方、収入があるにもかかわらず、保険料を払わなかった人はどうなるのだろうか。災害や特別な事情の場合を除いて、罰則か決められている。65歳以上で過去に保険料を払っていない期間がある人については、介護サービスを受け始めた時、未納期間(期限を過ぎても保険料を納めなかった期間)に応じた一定の期間中は、利用者負担が1割から3割に引き上げられる。ただし、定められた期限内に滞納分を市町村に納めれば、利用者負担が増えることはない。

65歳以上の人が介護サービスを受けている時に滞納して一定期間が過ぎると、いったん自分で利用料の全額を払い、あとで保険給付分が戻ってくる償還払いに切り替わる。さらに、給付の一部または全部の支払いが一時差し止めとなることもある。これでもなお滞納するようなケースには、差し止めた分を滞納保険料に充てることも考えられている。

40〜64歳の人(第2号被保険者)は基本的に医療保険に加入している。これらの人たちは、介護保険の保険料は医療保険の保険料に上乗せする形で徴収されるので、職域の健康保険組合に加入しているサラリーマンなどの滞納は考えられない。しかし、国民健康保険の加入者の場合は、滞納する人が出てこないともいえない。

その場合、第2号被保険者である期間に介護が必要と認定されても、サービス利用料か償還払いになったり、介護保険の給付が一時差し止められたり、医療保険の給付まで差し止めになってしまうこともある。

 

 

 

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