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公的介護保険 入門講座 No.8

 

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<すでに特養ホームに入っている人はどうなるの?>

 

● 5年間はサービスを受けられる

介護保険では介護を必要と認められた高齢者や家族が、自らの意思で、介護の必要度に応じたさまざまな在宅サービスや、特別養護老人ホーム(以下特養)入所などの施設サービスを選んで利用することになる。介護保険がはじまると、従来の特養など福祉施設への入所に代表される、市町村がその人の緊急度や困窮度を判断して入所を決める「措置」という老人福祉法による制度が、一部を残して姿を消す。

2000年4月以降も措置制度が適用になるのは、介護サービスを自ら選んで利用することが困難な一部の高齢者だ。たとえば一人暮らしでぼけ症状があって自分でサービスを求めることができなかったり、家族が同居していても理解がなくて人権を侵害されサービスを利用できないような場合。このような高齢者に対しては、従来通り市町村が施設入所または在宅サービスの提供や内容を決定する費用は介護保険から給付され、利用者負担分も多くを公費で賄ってもらえる。

ここで疑問がひとつ。介護保険がスタートする以前に措置によって特養に入所していた高齢者はどうなるのか?

施行日から5年間は、介護が必要かどうかの認定を受けずにそのまま介護保険から施設サービスを受けることができる。ただし、介護の必要度を決める等級判定は行われ、5年後には改めて要介護の認定が実施される見込みだ。

老人保健施設や老人病院などその他の介護保険の対象になる施設でも、すでに入所、入院している人はたくさんいる。特養入所者と違ってこの人たちは、保険の導入に伴って要介護認定と等級判定を受ける。このため、老人保健施設の長期入所者や老人病院に家庭の事情などで社会的入院をしている患者は、制度がはじまると施設から追い出されてしまう事態も予測される。

 

● 入所前に住んでいた市町村に保険料を納める

通常、特養で暮らす高齢者は、特養に住所を移すことが多い。介護保険では、原則住民登録している市町村に保険料を納め保険金を給付してもらう。しかし、特養に入るために他市町村から住所を移した場合は、入所前に住んでいた市町村に保険料を納めて保険金給付を受けることになる。これは特養が不足している市町村よりも、整備された市町村に介護費用が集中して保険の運営やサービスの確保が困難となる不釣り合いを防ぐためだ。

自宅から別の町の特養ホームに入って、さらに違う町の特養ホームに移った場合も、自宅があった地域の市町村に保険料を納めることになる。

 

 

 

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