助けられ上手は素直な感情表現から
まずは、百聞は一見にしかず。助けられ上手の高齢者のみなさんがワンサカいらっしゃるという情報を得て、愛知県常滑市にあるふれあいサロン『はっぴいわん』に向かった。高齢者の生きがいづくり、助け合いの仲間づくりをめざす草の根団体である。名古屋駅からさらに三〇分、名鉄常滑線大野町駅で降りる。古くは大野城の城下町として栄え、最近まで海水浴客でにぎわったというこの町も、今では高齢化率二五・一%、四人に一人が高齢者という超高齢社会になっている。
「一人暮らしの高齢者もかなりの数に上るんですよ。それに家族と同居していても、みな勤めに出てしまって昼間は一人という方が多いんです」と代表の久保田さん。『はっぴいわん』には、こうした高齢者が集まって思い思いに一日を過ごしている。
早速みなさんのおしゃべりの仲間に入れていただいた。「私たち、みーんな助けられ上手よ(笑)」と何とも明るい。ポンポン飛び出すウィットに富んだ会話から、たくさんのヒントをいただきましたヨ。
「ここのみなさんは、うれしかったらそれをとても素直に表現してくださる、私たちスタッフを気持ちよくさせてくれるんですよ」という久保田さんの言葉どおり、みなさん感謝の気持ちを思いっきり口にされる。
「だって本当に助かっているんだもの」と語るのは笑顔がステキな森田綾子さん、八四歳。日本人は感情表現が下手だとよくいわれるが、確かに感謝の気持ちを素直に口にするのは照れもあり、なかなかむずかしい。でも他人であれ家族であれ、やはり感謝のひと言はうれしいもの。ヨシッ、助けられ上手のコツの第一は素直な感情表現、特に「アリガトウ」が自然にいえるかどうか-、とノートに記して納得。