それにふれあい活動が、それぞれタテ割りで提供されたのでは、効果が殺(そ)がれるし、サービスを受ける側に不便なこともあろう。また、ほとんどの地域では、必要なサービスがそろっていないのが現状である。
そこで、まず、全国すべての地域において、現に行われているサービスの提供者たちがお互いにネットワークを組むことが求められる。つぎに、必要なサービスが提供されていない地域では、そのサービスが提供されるよう働きかける人がほしい。
その二つの役割を、市民の立場から果たす人をネットワーカーと呼び、当財団は、ネットワーカー養成の事業に取り組みはじめたところである。
● グループホームの普及
ふれあい活動はコミュニティーの中でふれあいの関係を広めようとする活動であるが、グループホームは、家庭をふれあいの場にしていこうというものである。健常な状態の人であっても、血縁にとらわれず、共に住み、家でふれあい、助け合っていこうというふれあい型グループホームは、公的介護保険のサービスのひとつとして進められるケア型グループホームと並んで(時に、その前身となるホームとして)、必要である。その普及活動も、進めていきたい。
「全地域に新しいふれあい社会を」という目標は、もちろん、当財団とその協力者の力だけで実現できるものではない。大切なのは、その目標が達せられ、どこに住んでいようと誰もが最後まで安心して暮らせるような社会になることである。
そして、今、そういう社会を求める「時の流れ」は、着実に生まれつつある。その流れを確かなものにするよう、モデルとなる事業を展開し、また、志を同じくするいろいろな組織と連携して事業を広めていけば、自然に時の流れが強まり、必ずや全国に及ぶものと信じている。