日本財団 図書館


表紙絵から

 

 

池田げんえい/1946年神奈川県生まれ。日本児童出版家連盟、現代児童会会員。創作『鬼の会』同人。日本デザイナー学院講師。はり絵作家。

 

● 平成・東海道五拾三次

その42 「宮」

-熱田神宮-

近頃のボクの旅のスタイルは、宿を拠点に重い荷を残し、先へ歩けるだけ歩いて再び電車で戻る…。

このアイデアに一人酔っている。昨夜も鳴海から東岡崎に戻ったところ。そして今日、久しぶりの好天に慌ただしく再び鳴海に向かった。そして宮までの約1時間、徐々に高いビルが増えはじめたその真ん中にデンと神宮の杜が、そして大鳥居が濃い緑の中に姿を見せた。今朝はどこかの女子大の卒業式だったとみえ、みな揃いの着物袴スタイル。髪にも揃いのチョンチョコリンコ、あちらこちらで"タカラジェンヌ"の輪が広がっていた。この個性のない集団のかもし出す強烈な個性にタジタジとなったボクは、大鳥居を左に、早々に熱田浜(船着き場)に向かう。なぜタジタジとなったのか、その時の細かな心境は今もってわからず。

 

002-1.jpg 002-2.jpg

熱田神宮

 

002-3.jpg

安藤広重絵「宮」

宮とは熱田神宮、夜の馬追い神事の図。真っ暗な闇の中、かがり火を焚いて荒馬を追い立てる男たち。馬のいななきが聞こえてくるような豪放な画だ。しかし、熱田神宮に馬追い神事の記録はないという。広重の創造であろうか。

 

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION