日本財団 図書館


■ 地域は変わるか?全国から首長が集合

地方自治体の大多数が公的介護保険に反対ないし慎重という消極的な姿勢を示していた昨年秋、介護保険に真正面から取り組もうとする意気込みを持った市町村長さん八一人が東京に集まりネットワークをつくった。公的介護保険の実施をテコに「土建自治体」を「福祉自治体」へと脱皮させようとする「福祉自治体ユニット住民サイドの福祉行政を進める市町村長の会」だ。

顔ぶれを見ると、高齢化が進む過疎地の町村の首長から、高齢化率が全国平均よりも低く若々しい都市の市長まで多様。目立つのは、小さいけれども地域医療や高齢者福祉の分野で先駆的な取り組みをしてきた市町村長だ。

まず北海道空知郡奈井江(ないえ)町の北良治町長。過疎地の市町が協力し合って公的介護保険を実施する広域連携の先覚者として全国的に有名になった人物。秋田県からは、全国に先駆けて二四時間ホームヘルプ・サービスを実施した鷹巣(たかのす)町の岩川徹町長、山形県からは過疎と高齢化を福祉充実によって克服したとしてNHKで全国に紹介された最上町の中村仁町長が参加した。埼玉県では、ノーマライゼーションを町づくりの理念に掲げた東松山市の坂本祐之輔市長、富山県からは全国で初めて全館個室の特別養護老人ホーム「おらはうす宇奈月」をつくった宇奈月町の中谷延之町長といった具合だ。高齢化施策として見るべきものがない自治体の首長さんも「現状のままではダメだ。なんとかしなくては」という問題意識に溢れている。

現在、全国四七都道府県のうち三七都道府県から一〇一人の市町村長がメンバーになっているが、おもしろいことに百万都市の神奈川県川崎市の高橋清市長もいれば、人口二三八〇人、世帯数わずか九〇〇の島根県羽須美(はずみ)村の三上隆三村長もいる。また秋田県からは、一四人もの町村長が参加している。さらに、長崎の光武顕佐世保市長のように元自民党代議士という経歴を持った人など党派やイデオロギーに関係なくさまざまなタイプが入りまじっている。こ

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION