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訪問を終えて教室に戻る四年生の子どもたちに、「今日はどうだった?」と聞くと「じいちゃん、ばあちゃんは泣きよった」という話をしてくれた。

年に一度の子どもたちの訪問をとても楽しみにしているお年寄りも多いと聞く。帰りに施設のお年寄りから手作りのちぎり絵をもらって喜び、別れを惜しんで話に夢中になっている場面を見ると心が温まる思いがする。

 

●<課題>●

本校では、年に二回(一年生と四年生が一回ずつ)施設訪問をして福祉活動を行っている。学校としても、受け入れていただく施設の方としても適度の回数であると思うが、子どもたちに目を向けて考えると、六年間で直接的に福祉活動の体験を行うのはこの二回だけである。地域に住む独居老人の方々へ年賀状を書いたりすることはあるものの、その他での関わりは皆無に等しい。学年単位、学級単位での関わりになると、どうしても事前の準備に時間を使い、なかなか簡単に実施ができない、また、受け入れる方も大変であるということが大きな要因のひとつである。裏返して考えれば、大げさに構えない活動のあり方を今後探っていく必要があると思う。

もうひとつの今後の課題は、贈り物や出し物を贈ったり見せたりという活動だけではなく、ふれあいの中で何かを学んで帰るという活動にするということである。これからの福祉を考えたとき、、基本的に私たちが心がけておきたいことは、お互いが学び合い支え合うということである。子どもたちがお年寄りから生きていくための知恵や工夫、遊びの仕方などを学んでくるようになるとさらに幅広い活動になるのではないかと思う。

 

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4年生「古賀の里」訪問風景。お年寄りに歌のプレゼント(保護者)。

 

 

 

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