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「介護保険法」を活用しよう。だが、埋没しないでおこう

当面のみなさんの課題は、「介護保険法」とどのように付き合うかということでしよう。

「介護保険法」の外だけで活動する人たちは、自らの活動をこれまでより発展させつつ、「介護保険法」が要介護高齢者にとって効果的な役割を果たすように監視していきましょう。もし、「介護保険法」がしっかりと機能していないのであれば、その原因を探り、是正措置がとられるように、各方面へ働きかけましよう。

「介護保険法」の枠内・枠外の両方で活躍する団体は、一方において、これまでと同じ活動を「外」で継続して行います。他方において「介護保険法」の担い手の一部(指定居宅サービス事業者)としての活動をします。

この際、最も気を付けなくてはならないことは、「介護保険法」内の活動をするときのことです。「介護保険法」は行政の巨大な権力と莫大な予算で動く国家制度です。ところが、保険者である自治体は運営に慣れておらず、サービス内容も必ずしも十分な量と質ではありません。心やさしきリーダーたちは、まず「介護保険法」体制をしっかりとしてしまおう、と思いがちです。これが、「介護保険法」に埋没し、取り込まれてしまう第一歩なのです。

「介護保険法」がどのように十分に機能しても、要介護高齢者の「心」の分野や、要介護者の人間的能力を最大限発揮できるように支援しようというような発想は生まれてきません。この分野は、巨大な国家によってではなく、地域の助け合い、ボランティア、NPO(非営利団体)の活動によってしか担うことはできないのです。

「介護保険法」がスタートしても、これまでのボランティア団体・NPOの役割が低くなることはなく、ますます高まってくるでしょう。新時代のリーダーは、苦難に真っ正面から立ち向かい、「介護保険法」を市民の立場から使いこなすのです。みなさんのご奮闘を期待します! (了)

 

 

 

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