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公的介護保健 入門講座 No.1

 

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<どういうふうにサービスが受けられるの?>

まず最初の今回は、サービスを受ける流れを簡単に追っていこう。

 

● 新保険証の登場!

まず、利用者である被保険者が保険のサービスを利用したいときには、「要介護認定機関」なるところに申し込む。こういうと堅苦しいが、ほとんどは市町村そのものが窓口になるか、あるいは委託を受けた「在宅介護支援センター」などがその受付先になる見込み。

申し込みは本人または家族等が行うことになるが、本人が動けない場合、まずは電話一本でいいのか、あるいは家族が代理で申請する場合、ややこしい手間がかからないのか、などしっかりこれからチェックしていきたいところ。

その後、申請に基づいて市町村ごとに置かれる「介護認定審査会」なるところで、「本当に介護が必要か」「どの程度の介護が必要か」などが審査され、その決定を待って、妥当とされるサービスを受けることになる。従来のお役所仕事で申請が"なしのつぶて"にならないよう、介護保険では「30日以内に回答」という原則がある。そしてこの認定結果に不服の場合には、申し立てを行うことができるが、果たして実際どのくらい「不服」が通るのかは、正直にいってはじまってみないとわからない。

ところで、この制度は名前の通り「保険」なので、従来の医療保険と同じように、新たな保険証が登場する。「介護保険被保険者証」で、65歳になった時点で、自動的に交付され、この保険証を提示してサービスを受ける。

 

● サービスの内書は自分で選ぶ?

要介護認定を受けたらすぐサービスの提供、というわけではない。本誌12月号でも紹介したとおり、その人の「要介護度」(厚生省では現在6段階にランク分け)に従って、具体的にどういうサービスが必要なのかという「ケアプラン」を決める必要がある。サービスは、ホームヘルパーによる訪問介護やデイサービス利用他在宅で暮らす場合の在宅サービス12種類と、特別養護老人ホーム(特養)などへの入所、入院ができる施設サービス3種類。そして今回の保険制度の大きな特徴のひとつが、このプランを自分でも作成できるというところ。もちろん専門家に頼むこともできる。

ここで素朴な疑問。自分でプランを決められるとあるが、たとえば自分で入りたい特養を希望することができるのか?制度の結論からいえば、イエスだ。それがたとえ自分が住んでいない市町村にあっても、これからは「希望する」ことはできるようになる。しかし、地域によっては入所まで3〜4年ともいわれる特養に、法律ができたから、すぐ「はい、どうぞ」となるわけもないから、現実的にすぐ大きく事情が変わるわけではない。ただし、措置制度から選択制になれば、施設の内容により人気も変わる。施設側の奮起を促す材料にはなると期待しよう。

 

 

 

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