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はじめに

 

児童福祉法が改正され、保育園は今大きく変わろうとしています。この改革により、利用者は自分の勤務条件や子どもの個性に合った保育園に入園を申し込むことができるようになりました。

保育園側からすると選ばれる立場になったのですから、地域社会から評価されるためには、利用者のニーズに合わせたより良質な保育サービスを提供しなければなりませんし、「地域の一般家庭の子育て支援」にも貢献することが必要となります。

共働き家庭は一般化しており保育園はますます「仕事と子育ての両立支援」に努めなければなりませんが、それに加えて今は、園児の家庭を支援するだけでなく専業主婦等の子育ても支援することが期待されているのです。

このようないわば「地域の一般家庭の子育て支援」には、子育てサークルの育成や育児講座の開催等もありますが、子育て相談が主要な柱となります。新しい児童福祉法でも、保育園が相談に応じるように義務づけられています。

核家族化や都市化の進展は、我が国の子育てに少なからぬ影響を与えています。核家族化や家族の小規模化は、子育て体験の機会を減少させ、育児知識の伝承を希薄化させます。また地域社会の都市化は、子育てにおいても住民相互の扶助機能を低下させています。

このような子育てをめぐる環境の変化は、若い親たちに負担感や不安感を与え、いわゆる育児不安や育児ノイローゼを始め深刻な問題を生じる要因となっています。そして、子育てにとって好ましくないこうした変化は、子ども自身の成長・発達にマイナスの影響を与えることになります。子育てに悩む保護者の相談に応じるインフラ整備が急がれねばなりません。

保育園には永年にわたって蓄積された子育てに関する知識と経験があるのですから、それらの子育てのノウハウを地域社会に拓くことが期待されています。これからの保育園は子育て相談に応じることが当たり前のこととなるのですが、懸念されることがあります。それは、保育園には確かに子育ての知識、経験があるのですが、「相談」となるとまた別の専門性が必要だということです。子どもや子育てについてはベテランの保育者であっても、「相談」に必要な知識や技術を身に付けているとは限らないのです。保育園向けの「子育て相談の手引」の必要性が叫ばれるゆえんです。

この手引書が、多くの保育関係者に読まれ、子育て相談に携わる方たちの資質向上にいささかなりともお役に立つことができれば幸いです。

 

 

 

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