日本財団 図書館


第3分科会

 

健康診断と保育者の役割

 

司会者  永原静子(東大阪市・ひしの美東保育園長)

提案者  小高勢津子(八尾市立山本南保育所看護婦)

助言者  蔭山尚正(大阪小児科医会副会長)

 

提案要旨

 

健康診断と保育者の役割

 

小高勢津子(八尾市立山本南保育所看護婦)

 

保育所児童の健康管理は日常の健康観察が大切なポイントですが、それよりも集団保育の重要な位置をしめている健康診断の実施の心構えと事後の対応について事例をあげてみたいと思います。

まず、実施に当たり、子ども達には不安や恐怖心を与えないように保育室で、幼児は保健室で行います。医師には白衣はやめていただくという配慮をしています。

当日の子どもの体調やクラスの疾病の発生状況、薬の持参状況を報告したり、保護者からの聞きとりをすることもあります。先生と子ども達が顔なじみになるということは無理なく検診を受けるうえに大事なことだと思います。その後の診療も容易になり、「あの保育所のお医者さんに行く」と言って泣かないで行くようになったとお母さん方からも大変喜ばれています。

診断の結果は十分に理解していただけるように、丁寧に説明をするようにしています。

検診結果は大半が異常なしという結果ではありますが、「受診して大事に至らずよかった」と感謝された事例をあげてみます。

 

1) 先天性心室中隔欠損症。  3歳女児

検診時に心雑音があり精査をすすめた。赤ちゃん検診でも言われたが、元気にしているし、その内に専門医へ行くつもりでいたが早速受診するといって診てもらい心疾患生活表を園へ届けて来たので保育上の諸注意が出来た。

 

2) 滲出性中耳炎、アデノイド。  2歳男児

午睡中にいびきがひどい、常に口を開けている(口呼吸)という日常の状態を相談して、耳鼻科へ紹介されたケース。

3歳半頃に手術の予定。

これらは、ほんの一部ですが、このような例をみのがさず嘱託医と保育者の連携プレーを行うことで保育所の子ども達が、より健康に園生活を過ごせるように保健活動をすすめていきたいと思います。

最後に八尾市保育所(園)保健会(昭和54年発足)の紹介を致します。

嘱託医師、歯科医師、薬剤師の先生方を中心に園長、看護婦、保母、栄養士、調理員等保育所職員で構成し、講演会や施設見学、調査研究、その他研修会への参加と多方面において活動しています。公立と法人立の共同の組織は八尾市独自のものであり、このような保育園児の健康維持、増進のための組織が、どんどん拡がっていくことを願い本日の提案とさせていただきます。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION