地域と青年の家との連携のあり方は
司会 最後に、地域社会と青年の家との事業のあり方というのは何かあるんでしょうか。
伊藤 それはさっき言った、まさに開かれた青年の家でしょう。開かれた青年の家とは、地域だとか、社会にあるいろんな教育資源のところへ、こちらから出かけていくこと、五十川さんのお話しのように、熊撃ち名人といった教育資源に来ていただいて、教育を受け持ってもらうこと、もう一つは、学校が持っている教育資源を地域の人々の学習のために開放しますね。校庭開放とか、先生がボランティアでサービスするとか、教育機能を総合化して公開講座をやるのと同じで、青年の家の機能を開放することです。
青年の家祭りは、今申し上げた3つ目の仕事です。青少年施設はすばらしい教育資源を持っているんですから、地域のために積極的にこれを提供していく努力を行うべきでしょう。地域から浮き上がっちゃったら終わりです。地域はコミュニティーだけではなくて、アジア地域もあるように、自分の存在を支える有機的なつながり空間が地域ですからね。
司会 青年の家とか少年自然の家に、地域の人が来る、呼ぶということも必要だけれども、青年の家とか少年自然の家は一般に交通の不便なところにありますから、逆に人のいる町へ行って、事業をやるということも必要なんですね。
伊藤 今やっていますよ。例えば、国立沖縄青年の家の場合、主催事業に遠くからとてもいい講師に来ていただいたので、じゃ、沖縄本島で公開講座としてサービスしようと、いろんな知恵を働かせていらっしゃるようですね。
五十川 1つには、今、司会の吉澤さんがおっしゃるように不便性みたいなのがありますから、そうしたら、どこでやれば一番集まるかというのを優先していくみたいな柔軟性も必要ですね。青年の家の講堂で400人埋めようと思っても50人しか来ないけれども、そこから20キロ離れた何とか市の公会堂でやったら400人集まったとか500人集まったという例はあるわけですから、やはり発想なんですね。
司会 事業の内容によっては、青年の家じゃなくても青年の家の事業ができるということがあるわけですね。
五十川 はい。やっぱりそういう柔軟性みたいなものが必要でしょうね。
司会 今、お話が出ているのは、青年の家の職員だけでやるということよりも、広く地域とか社会の資源(人材)を使い、そういう連携のもとに、場合によってはこちらが出かけていくといった、一言で言えば開かれた青年の家、少年自然の家でなければ、これからの時代において青年の家の教育や少年自然の家の教育の充実はやっぱり難しいだろうということだと思うんですけれども。
鈴木 私のところでは、青年の家のある近隣の3市2町と青年の家が協力しまして、青年対象の事業を実施しています。負担金を出し合って、3市2町が集まり、県の予算も入れて、一緒にやるわけです。実施の場面では、各市町がいろいろ目玉にしている施設等にも出かけていきながら青年の目を広げて教養を高めるとともに、交流を目的としておりまして、ずっと続けていきたい事業の1つです。そういう面では、連携の1つの事例になるかと思います。