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3] シルクロード観光振興のための共通イメージ、キーワードの創出

「シルクロード」と言う言葉が持つイメージは民族、地域、年令等で様々な違いが考えられよう。つまりシルクロードの西端にあるヨーロッパの人々と、東端の中国人更には日本人とのイメージは当然違う。ただ、シルクロード観光振興においては、世界の観光客に幅広く共有されうるイメージやキーワードを幾つか考え、それを中心に据えてアピールしていく必要がある。今回トルコ及びシリアを訪れて、中国から中央アジアを経て、トルコ、シリアに至るシルクロード全体を一つの魅力あるコンセプトのもとに位置付ける試みをした時に、ギリシャ・ローマ文化の中で生まれたキューピッド、ニケなどの羽を持つ人物像が東へ行くに従い、中国では羽を失い、最後は日本の天女像になっていくことから、飛天像をイメージして「飛天の舞うシルクロードの旅への誘い」が旅人めロマンを誘うシルクロード旅行のコンセプトになるのではないか。また、これに加えて今回の調査団長の樋口先生のアドバイスをお借りすれば「三蔵法師とアレクサンダー大王の出会う道」となる。シルクロードの東では、玄奘三蔵が仏典を求めてガンダーラを経てインドに行き、西からはアレクサンダー大王がトルコ、ペルシャを経てガンダーラまで攻め込んでおり、時代は違え二人の足跡を辿れば東西のシルクロードはつながることになり、歴史上、東西文化の交流に貢献してきたシルクロードのイメージとして適切である。シルクロードの文化交流・伝搬に光をあてて歴史上東西文化の交流・形成や宗教活動に伴う交流等に役だった歴史上の人物等を取り上げ、この業績をテーマにした展覧会や交流のルートを探る旅の企画など新資源の掘り起こしの可能性もある。既に日本の旅行社では中国西安からトルコのイスタンブールまで50日間をバスで踏破するツアーを1995年から実施しておりシルクロードの歴史に興味を抱いた旅行者にアピールしている。

 

(3) 観光関連施設の改良

1] 空港

トルコ・シリアともゲートウェーの空港が国際水準に達していない。特に待合い室のスペースが狭く出発便・到着便が幅験するイスタンブール空港では、国際的な水準には遠い。

またレストランや土産物売店は魅力に乏しい。居ながらにして旅客が楽しめるスペース作りにはお金と工夫が必要になるが、狭隘さからくる窮屈なイメージは、一国を代表する国際線の空の玄関としては早く改善する必要がある。

シリアのダマスカス空港も同様なことが言える。特に到着ロビー内の照明が薄暗く、バゲッジテーブルが2基しかない。バゲッジカートはあるが有料(1ドル)で台数も少ない。

2] ホテル

ハード面では一応の水準が有るが、サービス面では大いに質の向上を要する。一流のホテルチェーンを除けば日本人にとっては食事特に衛生面での工夫が欲しい。見た目の清潔さはまず必要となろう。

 

(4)観光ガイド

海外旅行でも歴史観光におけるガイドの重要性は協調されて良い。言語能力に加えて、歴史・遺跡・文化への深い理解が無いと、特別に歴史に興味を持ち、過去に海外旅行経験が多い、いわゆるリピーターを満足、納得させられない。今回トルコでは歴史に特段の知識を持ったガイドに運良く巡りあったが、シルクロード観光というポイントからは各関係国とも本腰をいれて有能なガイドを養成していく必要がある。

 

 

 

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