5] 聖パウロ教会
城壁で囲まれた旧市街の中で、キサン門の裏手にある。言い伝えによれば、キリスト教迫害の罪でローマから追われたパウロは、途中で強い光に当たり盲目となるが、キリストの声に打たれ、無意識の内にキリストの使徒ハナニーヤに伴われてダマスカスにやってくる。彼はそこで強固なキリスト者に改宗した。これを知ったユダヤの仲間がパウロを殺そうとするが、パウロはダマスカス城壁に近い民家に隠れ、使徒たちの協力で夜陰に乗じ大きなかごにつるされて窓から脱がれ、危機を脱したと言う。現在この民家が聖パウロ教会となっていて、彼の脱出の様子を描いた宗教画が飾られている。
(2) ダマスカス近郊
マルーラはダマスカス市街から約56km、村全体がアンチ・レバノン山脈の岩山にへばりつくように建っており、海抜1,800mの高地にある。キリスト自身が話していたと言われるアラム語が話されていることと、住民の大半がギリシャ・カトリック教徒であることで知られている。マルーラとはアラム語で(ハルモン山への)“入り口の町”と言う意味である。
村全体を見下ろす山の上にある聖セルジウス教会はビザンチン時代からの歴史を持ち、13世紀に描かれたイコン(キリスト、聖母、使徒等の聖像)が多数飾られている。教会内部に土産物店があり、アラム語による祈りのカセットテープが販売されている。