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2. 試作評価システムの基本仕様

 

2.1 全体システム構成

 

昨年度の調査・研究では、将来の衛星通信への継続性などを考慮した上で、通信システムとしてVHFデータリンク(ACARS1を用いることを決定し、試作評価システムの基本設計を行った。図2-1に試作評価システムの全体像を示す。試作評価システムは地上評価装置および機上評価装置により構成され、地上評価装置は新規開発、機上評価装置は既存の小型機搭載用ハードウェアを改修して組み合わせる形で構成する(図2-2)。

 

(1) 地上評価装置

地上評価装置はデータリンクサービスプロバイダ(アビコム・ジャパン)のホストコンピュータ(JDLC:Japan data Link Computer)と接続し、機上評価装置との間で全国49局2のRCS(Remote Ground Station)を利用した空地データリンクが可能である。また気象情報サービスプロバイダ(日本気象協会)の提供するMICOS3端末とLAN接続し、気象情報データを入手する。汎用パソコン1台を用いて新規開発する。

 

(2) 機上評価装置

小型機に搭載され、RGSとVHFデータリンクを行う機能およびGPSによる衛星航法機能をもつ。機上評価装置は既存の小型機搭載用ハードウェアを最大限に利用する形で構成する。主な構成は以下の3つである。

 

(a)ACARS通信部

地上評価装置との間でVHFデータリンク(ACARS)行う機能を持つ。既存の小型機搭載用ACARS通信機4を改修して使用する。

 

(b)データ表示部

地上評価装置からアップリンクされた情報をGPSから得られる自機の位置情報と合わせてリアルタイムにかつ視覚的(聴覚的)にパイロットに提供する。既存の小型機搭載用GPSマップディスプレイ5を改修して利用する。

 

(c)データ処理部

通信データを収集するとともに、既存製品であるACARS通信部とデータ表示部のもつ制限をカバーし、機上評価装置としての機能を満足させる役割を果たす。市販のノートパソコンを利用して新規開発する。

 

1 Aircraft Gommunication Addressing and Reporting System:航空通信用の空地データリンクシステム。

2 平成10年9月時点。

3 Meteorological lnformation Comprehensive Online Service:日本気象協会のオンライン気象情報サービス。

4 Orbital Science社製CNS-12。

5 古野電気製DMS-80。

 

 

 

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