2) ミーティング概観
米国の好景気に支えられてか本年も参加者が増加し、約2000名に達したとのことである。第一回目がコロラドスプリングスで開催されてから丁度10年目、過去と比較すると参加者に政府、軍の関係者が減ったこと、展示場に出品しているメーカーの顔触れも過去大きなブースを構えていた受信機メーカが規模を縮小し、反対にGPSをセンサとして扱い、例えばGISをトータルのシステムとして販売するようなメーカが目立つようになるなど、徐々にミィーティングの性質もGPSの要素研究から応用へとその重心を移しつつあるように感ぜられた。
3) 二周波、三周波問題
米国ゴア副大統領宣言により、民生用に第二、第三の周波数が確保されることとなり、BLOCK IIF衛星のオプション行使の期限である8月末までにその仕様が決定される予定であったが、8月末までは決定はなされなかった。
電波形式については、民間側からはC/Aコードを二つのスペクトラムに分割(スプリットスペクトラム)するという案を基本にいくつかの提案があり、軍は民生用を単純なC/Aコードのままにして、自らの信号の自由度を得るべく双方折衝中のようで、いつどのような形で決着がつか全く予測が出来ない状態である。
(注)1999年1月末に周波数及び衛星打ち上げ時期に関してゴア副大統領の発表があった。(5.3項 関連情報の項参照下さい)
4) WAAS計画
FAAの発表によれば、計画はかなり遅れる見通しで2001年のFINAL PHASE達成は無理となった模様。現状のインマルサットIIIのみでは米国では精度、アベイラビリテイを満足させることが困難であることが明確になってきた。
今回のミィーティングにおいても対策として、早い時期から提案されているグロナスのコンバインをはじめ静止衛星をはじめとする各種衛星の追加等種々の提案がなされている。
ただ、WAASの計画自体はすでにGPS以外の電波航法が今後約10年で終了することが決定されていることを考えると大きな変更を受ける可能性は小さく、現在の問題点の対策を行いつつ、いずれ完成を見るものと考えたい。