2.3.5.5 測位ユーティリティタスク
測位ユーティリティタスクは以下の三つのモジュールから構成されている。
起動は必要に応じて、各モジュール独立に行われる。
1) 捕捉追尾マネージャ
視野内の衛星を推定するアラート計算終了時と信号処理部が衛星の捕捉・追尾に失敗したとき起動される。
アラート計算終了時、視野内衛星に変化があれば、新たに捕捉・追尾すべき衛星と追尾を中断する衛星を決定し、信号処理部に指示を出す。追尾失敗のときは、速やかに再捕捉可能なように、推定位置、衛星の軌道情報から疑似距離、ドップラ周波数を逆算し、サーチ範囲を狭めたうえで、捕捉・追尾の指示を出す。
2) 測位用パラメータ計算
測位演算で使用する
a) 衛星位置補間パラメータ
b) 衛星クロック遅延量、GPSパラメータによる電離層遅延量、対流圏遅延量
を信号処理部に割当られている全ての衛星について求める。
衛星の軌道は短時間であれば、ECEF X、Y、Z各軸の変化を二次曲線で近似しても必要十分な精度を有する。測位演算ではこの二次の曲線から衛星の位置を求め、下位のユーティリティタスクで、各軸毎の二次曲線のパラメータを計算するように構成されている。
3) GPSメッセージ編集
信号処理部からGPSメッセージが出力されたとき、信号処理部によって起動される。航法メッセージ中より、起動情報(アルマナック及びエフェメリス)、GPS電離層パラメータ、UTCパラメータ、衛星健康状態を抽出し、記憶する。
エフェメリスはサブフレーム1、2、3をそれぞれ2回受信し、内容が同一であることを確認後、記憶される。(MOPS2.1.1.2項に記載)
以下の場合、当該衛星をGPS UNHEALTHYにしなければならないので、その旨を出力する。(MOPS2.1.1.5.5項)
a) サブフレーム1中の6ビットのSV healthが“111101”を除き、最上位ビットが“1”。
b) 2回同一の内容が得られた場合であっても、IODC(サブフレーム1のクロックパラメータのデータ発行番号)とIODE(サブフレーム2、3のエフェメリス発行番号)が異なる場合。