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被害者支援の充実を願って

 

大阪被害者相談室代表 堀河昌子

大阪被害者相談室は1996年4月15日開設以来3周年を迎えようとしています。犯罪、事故、災害による被害に遭われた皆さまへの精神的サポートを目的に電話相談を行っています。これまで私たちの活動を支えて下さっている関係者の皆さまのご協力に深く感謝いたします。

開設当初の一年間は349回、二年目は592回、三年目の1998年度は3月15日現在418回の相談を受けました。相談内容も性被害、殺人・傷害等の犯罪被害、交通事故、肉親・愛する人との死別、職場・学校におけるいじめなど多岐にわたっています。

電話を受けるたびに被害者の心の傷の深さ、安全な環境の確保の難しさ、時間の経過が解決にはつながらないことなどを実感させられます。私たちの活動もトレーニングを重ね、被害者が安心して心のうちを語れる場として、誠心誠意「聴く」ことに重点をおいています。また相談によっては、ネットワークを介して直接的な援助を行う専門家に紹介することもあります。5月には全国被害者支援ネットワークが発足し、ネットワークの更なる拡がりの必要性を感じています。

相談員自身の資質の向上に努めるとともに、一方では被害者支援活動の充実を願って啓発活動にも力を注ぎました。4月には、小西聖子先生を講師に「大事な人が死んだとき」と題し、講演会を開きました。6月には、カナダの被害者支援活動の現状を知るための講演会を、国際犯罪学会理事エザット・ファター氏を招き開催しました。11月には被害者への危機介入をテーマに、アメリカNOVAの副会長でアリゾナ州ピマ郡検察官事務所被害者証人プログラム・コーディネーターの、ヴィッキー・シャープさんを招き講演会を持ちました。いま私たちに出来る被害者支援活動の新しい可能性が、カナダ・アメリカの現状を通して示唆される有意義なものでした。

 

 

 

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