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ごあいさつ

〜三年間の‘ありがとう’と‘これからもよろしく’の思いをこめて〜

 

大阪YWCA総幹事 鹿野幸枝

1996年の4月にスタートした大阪被害者相談室は、この春で開設3周年を迎えます。この3年の間に、日本の社会における被害者の援助をめぐる動きは急速に展開し、大阪についで石川、北海道、和歌山、広島他にも相談室が次々に誕生、'97年秋から準備が進み、'98年5月に発足した全国被害者支援ネットワークには、全国10都道府県の被害者相談室が参加するに至りました。先頃、大阪YWCAで開かれた全国被害者支援ネットワーク研修会には、日本各地から被害者相談に携わる多くの関係者が参加して、全国的な被害者援助の機運を実感するものとなりました。

警察も積極的に被害者対策に取り組んでいます。昨年秋、大阪府警察本部には被害者対策推進本部が設置され、初代被害者対策官となられた辻野賢次警視を始めとする多くの警察官がこのことに取り組んでいらっしゃいます。

また、被害者や加害者の権利を守り代弁者として働く弁護士の方々も、被害者のトラウマに関心を持ち始め、援助活動に取りかかっていらっしゃいます。

こういった大きなうねりの中で、大阪YWCAがこの被害者援助活動の一翼を担っていることに責任を感ずるとともに、組織としての大きな使命を感じます。それは、“人間の尊厳を守り、正義の行われる平和な社会をつくる”というYWCA本来の目的を実現するための活動でもあるからです。

3年前、先のこともよく見極めずに(身の程知らずにも)走り始めた感の強かった我が大阪被害者相談室も、相談員の研修システムなどだんだんに整え、他の相談機関や弁護士会などとのネットワークの中で次第に力をつけてきました。そして、何よりも相談の電話をかけてこられる方々のお話を聴く経験を積むことによって、相談員一人ひとりが成長してきたといえるでしょう。このような状況の中で、堀河昌子代表が、今年度大阪府プリムラ賞奨励賞を受賞したことは、この仕事に携わる人みんなの喜びであり、励みになったことでした。

ここに至るまでご指導下さった山上皓先生、穴田富美子さんを始めとする犯罪被害者相談室のみなさまや、いつもそのウィットに富んだ話しぶりで私たちを安心させて下さる顧問の三木善彦先生に心から感謝申し上げます。また、犯罪被害救援基金をはじめとして、財的に私たちの活動を支えて下さる多くの方々にも心から感謝申し上げます。みなさまのお支えによりてこの活動を続けてゆくことができることを、今一度心に留めたいと思います。そして、最後になりましたが、相談員のみなさま、今後もどうぞよろしくお願いします。

開設当初より相談員の研修に当たって下さっている小西聖子先生は、その著書の中で「安全なところでゆっくり話をすることは、被害者の心の回復に役立つ」と述べていらっしゃいます。「聴くこと」から始まった私たちの活動が、このスタンスをとりつつ、被害を受けられた方々の「考えること」「立ち直ること」のお手伝いが出来ればと願っております。

1999年3月

 

 

 

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