日本財団 図書館


シン駐日インド大使 講演会

「インドの外交政策と核政策」

 

平成10年12月15日 於:ホテルニューオータニ

 

-インドの外交政策-

インドは、植民地であった経験から、国の政策に関する意思決定について、自由かつ自律的な意思決定を重視してきた。自由で自律的な意思決定の上に、インドは、その独立当初から、非同盟、対話を中心とした外交政策を採用し、大戦後の新独立国のまとめ役を担う等、国際社会の安定に貢献してきた。軍縮についても独自の各種軍縮提案を行う等、建設的な役割を果たしてきた。

 

-核兵器・核実験-

98年5月にインドが行った核実験について、核兵器保有国、及び同盟によりその恩恵にあずかるカナダ、日本等の国々はインドを非難したが、今回の実験は特定の国に狙いを定めたものではなく、自国の安全保障の確保のため、最小限度の実験を行ったに過ぎない。これらの国々は、今回のインドの核実験については厳しく非難しているが、核大国がこれまで何度となく行なってきた核実験についてはどう考えれているのであろうか。インドは、軍拡競争をする積もりはなく、今回の実験は何ら国際条約に反するものでもない。また、核兵器に関する技術の漏洩に関してもインドは細心の注意を払って機密保持をしており、問題はないはずである、にもかかわらず非難されている。

インドが核不拡散、包括的核実験禁止条約を締結しないのは、この条約が、不平等なものだからである。インドは、国際的な核軍縮に反対なのではなく、現在のシステムの欠点について注目し、その是正を求めているだけである。責任ある国家であるインドは、核兵器に関し、これからも、非差別的で普遍的な世界的な制約については受け入れる用意がある。核の問題は脅しや制裁によって決着をつけるのではなく、誠意ある真剣な対話によって解決すべきものである。グローバルな規模での核兵器の廃絶は、我々の安全保障を高め、世界の安全保障にも寄与するものであり、我々は、核兵器について、ユニークな歴史的経験を持つ日本とともに努力していきたい。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION