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はしがき

 

財団法人世界平和研究所は1998年11月16日から18日の三日間、東京において、国内外から専門家を招聘し、「拡大ヨーロッパの課題とその世界的意味」をテーマに国際会議および公開シンポジウムを開催した。

 

本会議およびシンポジウムは、当研究所において実施中の「地球化社会における日本の役割と課題」をテーマとする研究プロジェクトの一環として開催されたものである。ヨーロッパでは、欧州連合(EU)が1999年1月に通貨統合の準備を始動させるなど政治・経済統合は深化しており、また、北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大、それに対するロシアの対応が注目されるなかヨーロッパでの新たな安全保障秩序が模索されている。本プロジェクトは、これらの動きを世界的な視点から研究し、わが国の政策に資することを目的に企画されたものである。

 

本プロジェクトでは、11月16日、17日の両日に四つのクローズド・セッションを行い、 11名の招聘者に当研究所の研究員も加わり、活発な議論が展開された。18日の公開シンポジウムはクローズドセッションの議論をベースに、大河原良雄当研究所理事長の司会進行の下、6名のパネリストが報告を行った後に質疑が行われた。

 

招聘者は、日本から嘉治佐保子助教授(慶應義塾大学経済学部)、植田隆子教授(国際基督教大学国際関係学科)、欧州からニール・キノック氏(欧州委員会委員、元イギリス労働党党首)、ナイジェル・エバンス氏(駐日欧州委員会代表部公使)、モレノ・ベルトルディ氏(駐日欧州委員会代表部一等書記官)、ロタール・ルール教授(ケルン大学政治・ヨーロッパ問題研究所)、マルク・フランドロー助教授(フランス経済情勢研究所研究員、政経学院助教授)、米国からジョン・ケリー大使(元駐フィンランド米国大使)、ダグ・ハーテリウス氏(東西研究所副所長)、アジアからユスフ・ワナンディ氏(インドネシアCSIS会長)、ラメシュ・タクール教授(国際連合大学副学長)の11人となった。公開シンポジウムには、嘉治助教授、エバンス氏、ルール教授、ケリー大使、ワナンディ氏の5名がパネリストとして参加し、これに当研究所佐藤研究主幹が加わった。

 

本報告書では、公開シンポジウムおよび四つのクローズドセッションの概要を紹介するとともに、招聘者から提出された論文を掲載する。

 

なお、本プロジェクトは日本財団の補助を得て行われたものである。

 

 

 

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