5 おわりに
自己啓発の現状と課題とについて、アンケート結果をもとに整理してきた。
前にも述べたとおり、地方公共団体職員の研修については、地方公務員法第39条第1項に定められ、行政組織が職員の公務能率の発揮及び増進を目的として企画・実施することとされており、本調査研究においては、地方公共団体が職員の職務に活かされる内容であると判断し、職員・グループに対して支援を行っている自己啓発を対象としてまとめてきた。
しかし、自己啓発は、人間の基本的欲求の究極の目的としての「自己実現の欲求」を充足するために行われるものであり、本来的には、この調査研究対象の自己啓発と個人的な自己啓発とに分類されて存在するわけではない。
首長・管理監督者は、この両者について有機的な連携を図り、職務に対する目標設定などをとおして、職員の自覚を促すため、総体としての自己啓発のきっかけづくりを絶えず与えていく必要がある。
このためには、首長は、他の地方公共団体、国、民間企業の動向を注視するとともに、各種の政策等に関する資料・情報などについて収集を行い、かつ、職員へ提供することに努めなければならないと考えられる。そして、地方公共団体と職員個人が一体となって、継続して総体としての自己啓発の意義を真剣に考え、その有効な活用方法と模索していくことが、地方公共団体が住民の負託に応え、行政を的確に運営していくために必要であろう。