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本来、自己啓発は、本人の意欲・主体性が前提条件であることとの帰結として、職員個人の時間及び経費を使うものであり、このことからすれば、自己啓発は個人で完結することが建て前である。しかし、地方公共団体が、その必要性を認めることにより、当該自己啓発に要する時間、経費等に関して一定の配慮をすることが可能となる道が開かれることになる。具体的には、当該自己啓発に係る時間が、職務として位置付けられることによって公務出張が可能となったり、職務専念義務の免除や特別休暇の対象となったりすることなどが可能となり得る。また、自己啓発に要する経費の一部又は全額を地方公共団体が負担することなども可能となり得る。このほか、研修会や発表会等の場所の提供による支援や関係資料の提供、自己啓発の結果の人事管理等への反映なども可能となり得ると考えられよう。

調査研究対象の自己啓発は、地方公務員法第39条第1項に定める研修の3本柱の1つとしての自己啓発であるため、性質上おのずからその法的な限界があると考えられる。一方で、同じ内容の自己啓発であっても、各地方公共団体が職員の職務に生かされる内容であると判断されるか否かによって、個人的な自己啓発に分類される場合と、調査研究対象の自己啓発に分類される場合とがある。このことは、マクロでは、地方公共団体の置かれた状況(行政環境・財政事情など)、具体的には首長の人材育成に対する考え方などにより、ミクロでは、当該自己啓発の公務能率の発揮と増進とを視野に入れた場合の職務との関連性及びその必要性などにより微妙に差がでるものと考えられる。

このように同じ内容の自己啓発であっても、調査研究対象の自己啓発になったりならなかったり、地方公共団体により微妙な差がでることを認識しつつ、本調査研究を行っていくものである。

 

 

 

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