第5章 倫理
多くの国で公務員の汚職・腐敗が問題になっています。本章では、汚職・腐敗について論じ、公務員の倫理観を高めるためにはどうすればいいかについて考えてみましょう。
5-1 慣行と倫理
公務員の倫理については、公務員自身がもっとも自覚しているものです。しかし、服務規定上又は倫理上問題があるかも知れないとわかっている行為でも、その行為が職場全体で行われているようなときには、なかなかそうした行為を是正できないものです。
(議論のポイント)
・職場又は公務全体の慣行で、国民から批判されている慣行又は倫理上問題があるとあなたが考える慣行がありますか。
・その慣行はどうして生まれたのですか。
・その慣行はなぜ是正されてこなかったのですか。
シート74 公務員と国民との意識のズレ-職場の慣行-
5-2 誘惑
汚職の発端を調べてみると、公務員から汚職を持ち掛けるケースよりも、業者から食事などに誘われ、段々と深みにはまって、最終的に汚職に至るケースが多いようです。汚職を防止するためには、まず、汚職に通じる可能性があるちょっとした誘惑に負けないようにすることが大切です。
(議論のポイント)
・ちょっとした誘惑に負けないためには、職員はどのような心構えを持てばいいでしょうか。
・部下が汚職の誘惑に負けないようにするには、監督者はどのような点に注意すればいいでしょうか。
シート75 汚職の誘惑に負けないために
ケーススタディ:次のケースについて考えてみてください。
シート76 「割り勘で一杯」
シート77 「割り勘で一杯」の手引き
5-3 汚職の末路
汚職を防止するためには、汚職の末路について、職員に認識させることも大切です。汚職の記事が新聞などに掲載されることがありますが、汚職が発覚した後、その職員がどのような末路をたどったかについては、あまり知られていないようです。
(議論のポイント)
・あなたの回りで汚職を犯した職員はいますか。その後、その職員はどうなりましたか。
・汚職を犯した職員は、どのような末路をたどるでしょうか。