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2. 課税自主権の尊重

 

(1)税源移譲による行政の効率化

分権型社会においては、住民に身近な行政をできる限り身近な地方公共団体において処理することが基本とされる。そのための財源も、できる限り地方税で賄うことが望ましく、地方分権の進展に伴い、地方団体の財政面における自己決定権と自己責任を拡充していく必要がある。

昨年度報告書でも述べているとおり、地方分権を推進し、事務権限の移譲、国の関与の縮小、国庫補助金の廃止・縮小等を進め、これに伴い税源移譲をすることは国・地方を通ずる行政の簡素・効率化となり、ひいては国・地方を通じた財政再建につながっていくのではないかと考えられる。また、税源移譲が進み地方税の割合が高まれば、納税者が身近なところで税を納め、それがどう使われるかを監視していくという度合が高くなり、また、住民の受益と負担の関係が明確化するので、地方団体における税の使われ方も更に効率化するのではないかと考えられる。こうしたことからすると、地方への税源移譲は国・地方を通じて財政再建の趣旨にかなうものと言える。

北欧諸国の例でみてみると、ノルウェーでは1979年以来今日まで税率の上限設定によって事実上地方団体の税率決定権を否定してきた。また、イギリスでは保守党政権期の地方税改革を通じて税収に占める地方税の割合は10分の1程度に低下した。こうした集権的システムに対して、デンマークやスウェーデンでは地方団体が税率決定権を握り、国と地方団体を代表する地方自治体連合とが自発的に交渉するシステムをとっている。一見するとノルウェーやイギリスのような集権的システムのほうが、地方歳出のマクロ的コントロールが効くように思えるが、資料8に見られるように事実は全く逆で、地方団体が税率決定権を握るデンマークやスウェーデンのほうが地方歳出のコントロールがうまくいっている。このことは、地方税の税率決定権は財政責任を高め、自発的交渉システムは補助金や税率統制を通じたコントロールよりも優れていることを示唆しているという指摘がある。

我が国においても、多くの税目について地方団体が課税自主権を行使して標準税率以外の税率によって課税できることとされており、地方税源を充実強化するとともに、地方団体が独自に税率決定権を行使することで、より効率的な財政運営が可能になると考えられる。

しかも、法定外普通税、法定外目的税、超過課税については、地方交付税の基準財政収入額の算定対象とならないことから、税収の増加がそのまま増収につながるため、受益と負担の対応関係がより明確にあらわれることになる。

 

 

 

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