各機関庁舎の改築の際の仮庁舎としての利用、民有地の借用ができなくなった国際学校の校舎としての利用などがあるほか、学校の校舎を芸術文化活動に活用できる絶好のチャンスであることから、若手芸術家がアンティークな校舎を背景とした作品等の創作・発表活動会場としても利用されている。
6 結びに
既存の都市インフラの新たな活用方策として、京都市が現在取り組んでいる都心部小学校の統合による各学校跡地の活用計画について取り上げた。
京都市の都心部で、これだけのまとまった市有地についての新たな活用方策を検討することは、今後予想できず、都心部の再生を図るうえでの貴重な機会である。
しかし一方で、これらの小学校跡地は、地域住民にとっては、先に述べた歴史的経過から、教育のみならず、地元自治活動や地域コミュニティ活動に密接に関わっており、大変愛着心の深いものである。
こうした京都特有の事情を踏まえ、国立施設の誘致や公有地信託制度の活用等多様な事業手法も視野に入れ、跡地活用の方針を確立していった。また、19跡地のうち7の跡地(約4割)については、現時点での需要に対応する活用方策は決定せずに、将来のための用地として確保しておくこととした。
そして、個々の跡地活用計画の決定に当たっては、地元住民の要望と全市的な施設配置計画との乖離もみられること、地元住民が利用してきた運動場・体育館・会議室等の施設については継続利用の強い要望もあることから、地元住民と十分に協議し了解を得ることとし、地元住民の理解と協力のもとに事業を推進することとしている。
都心部3区の小学校の統合については一応の完了であるが、少子化が進展する中で、これらの区の隣接区での小学校の統合や、中学校の統合が考えられるため、今回の都心部3区の小学校跡地活用の取組における考え方とその手順については、今後において有効な事例となるものと考えられる。