はしがき
わが国の地方行政制度の運営やその改革にあたって、諸外国の地方制度の研究から得るところは少なくないと思われる。
このため、当センターでは、外国の地方行政制度に関する文献を翻訳、刊行し、わが国の地方公共団体の参考に供してきたが、このたびは、英国大蔵省から出版された「APPRAISAL AND EVALUATION IN CENTRAL GOVERNMENT」(中央政府の査定・評価報告書)を取り上げることとした。
本書は、現代英国の政策過程における事前評価と事後評価をいかに実施すべきかを示したマニュアル書である。
本書で扱っている評価手法は、中央政府ではどのように評価対象の価値を計量化するのか、計量しにくい価値は、どのような評価・測定手法を使って明らかにするのか、などを具体的に示している点で単なる指針にとどまらない利用価値の高いマニュアルとなっている。特に注目すべき点は、政策評価手法のマニュアルであるため、中央・地方を問わず利用できること、単なる事業評価にとどまらず、政策全体との整合性も考慮してあること、不確定なリスクを評価する手法を示していること、PFI(民間資金調達)や民間と競合する分野での評価手法を明らかにするなど、複雑な政策環境や最新の状況に対しても対応可能な評価手法を示していることである。
本書の翻訳については、翻訳専門会社の(株)テクノスタッフにお願いした。
原書の出版元の英国印刷庁には、今回の本訳書刊行の趣旨をご理解いただき、また、地方公共団体への無償配布を前提として、日本語での限定出版をご快諾いただいた。各地方公共団体において、本書を活用していただければ幸いである。
平成11年3月
財団法人 自治総合センター
理事長 湯浅利夫