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町からの支援

―コミュニティづくり助成制度と係の設置―

これらの活動に対し、町からの財政的支援として平成5年度に助成制度が設置されており、年間活動への一括助成ではなく各団体が事業ごとに申請を行うようになっています。

補助率、上限額とも事業の内容で細かく設定してあり、おまつりやスポーツ、レクリエーション等に関する事業は2分の1の補助率。ごみの減量化や自主防災、地域福祉等に関する事業は3分の2の補助率というようになっており、“ふれあいづくり”よりも“助け合い”の活動にインセンティブをもたらすよう設定してあります。ただし、いくらかかろうが上限額は最高でも10万円までの設定しかありません。経費をかけようとすれば、自然と自分たちで集めることになるのです。

また、助成金の交付についても、交付時期は実績報告の提出後とし、主たる経費が食料費の場合は対象外、参加費を徴収する場合はその金額を差し引いて算定することなど基準を明確化することで、各団体との信頼関係が保たれる結果となっています。

さらに人的支援としては、平成6年に6つ目の団体が設立され、町内全学区にコミュニティ団体が設立したことをきっかけに各団体間の連絡調整や共同事業を行う機関として三和町コミュニティ推進協議会を設立し、事務局を町企画課内に置きました。その翌年度から係(まちづくり推進係)が新設され、推進協議会の事務局として主に各団体間の連絡調整やまちづくり情報の提供を行っています。

しかし、各団体の事務作業については、一切各団体独自によるものであり、運営方法、事業企画内容については「口は出さずに金を出す」といわれるようなスタンスをとり続けています。

 

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仁連小の子供たちによる人文字

 

行政との“協働”とまちづくり団体ネットワーク

現在、おまつりの開催、全戸配布のミニコミ紙発行、三世代スポーツ大会、自主防災訓練、国道沿道の空き缶拾い活動、地域の高齢者を招いてのレクリェーション、地元の歴史をたどるツアーなど、レクリェーション活動から環境・福祉活動まで様々な事業が繰り広げられています。

これらの活動を通して、いやおうなしに行政との接触が生じることになりますが、そんな中で、住民側と行政側とが顔見知りになり、お互いの理解者が増えることで役場の中も風通しが良くなります。

また、県内で開催されるフォーラムなどを通して様々な団体と知り合い、市町村の垣根を越えたネットワークが出来つつあることも効果としてあげられます。

 

全住民参加が基本です。

三和町のコミュニティ活動の目指すものは、365日型活動とでもいうべきもので、1つのイベントの成功ではなく、毎日の生活全体を網羅すること。環境も福祉も教育も行政まかせではなく、また、特定の住民の閉鎖された空間づくりでもない、開かれた中での行政と住民との協働型まちづくりであり、そのために越えなければならないハードルは多数あります。特にこのような活動は目に見えて劇的な変化があるものではありませんし、一朝一夕で成り立つものでない事は活動を影で支えている役員さんたち自身が一番実感してす。しかし、スタートから7年目を迎え、従来にはなかった新しいコミュニティの枠組みを必要としていることは、それぞれの団体の代表者が口をそろえて言うことです。

あるリーダー(30年前に転入された方)はこう言います。「私は、ここに移り住んでかなり経ちますが、ふるさとは別の土地、自分の生まれ育った所にあると思っていたのです。でも、子供と接している中で気が付きました。この子たちのふるさとはまぎれもなくこの町であるということを。だから、子供たちが大人になった時、みんなに誇れるふるさとを、夢を与えてやりたい」と。

 

 

 

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