前日の興奮の冷めやらぬ中でのクリニックは、生徒たちの緊張もすぐにほぐれ、講師の先生方の予定時間を上回る熱のこもったご指導をしていただきました。
各パートに分かれてのクリニックでは、今まで気付かなかった楽器の構え方・息の吹き込み方など基本的な事についても細かく丁寧に指導を受けていました。ブラスの指導では、腹式呼吸とロングトーンのムラのない奏法について講師の実演を通して実習していました。
フルート・サックスの受講生は「基礎からしっかり身につけ、私が金城先生の演奏を聴いて感動したように、人に感動を与えるような音楽を創り上げていきたい。」クラリネットの受講生は「山根先生の音は、とてもきれいで、温かい感じで、私も自分の理想の音をめざして頑張りたいと思いました。」トランペットの受講生は「横山先生の音を目の前で聴いて、美しい音に感動しました。先生は親切で分かりやすく、一人ひとりの経験の深さや特性に応じたアドバイスをしていただき、私のこれからの目標ができました。」ホルンの受講生は「藤田先生は、色々なことを分かり易く親切に教えてくださいました。そして、プロの演奏は、ただ上手とか、きれいというだけでなく、人に何かを伝えることができるということを学びました。私も音楽で人に何かを伝えることができるようになりたいと思いました。」パーカッションの受講生は「教えて頂いた基礎練習方法を私たちは“草刈先生方式”と名付けて活用しています。草刈先生の指導される姿を見て、“やっぱりプロはすごいなあ”と感動しました。先生のご指導でティンパニーのロールができるようになりました。」と喜んでいます。長机の上にタオルを敷いて、基本的な打法からローリングまでじっくり学習ができたようです。
クリニックに参加した浅井孝一教諭に次のようなコメントをいただきました。「願ってもない好機とは、まさに、このことだったように思います。翌日に、サマーコンサートを控えた私たちにとって、すぐに役立つ実践を学べるチャンスでした。やはり、「うたごころを学ぶにはポップス」と言われますが、前日のコンサートのリハーサルを見学させていただいた時点で、生徒たちの目の色が変わりました。」
クリニックの終了後、講師の先生方と生徒達が合同で再度、指導曲「バラの謝肉祭」を演奏し、クリニックの成果が発表されました。
閉会の折、服部先生から、「今日の2時間の練習で急にレベルアップするというものではありません。毎日の練習の積み重ねが大切です。何かひとつでもいいから、今日のプロの演奏と自分との違いをつかみ、ずうっと頭の中にもち続けてほしい。他の人の音を聞きながら演奏することは最初のうちはなかなかできないが、基本に忠実に練習を続けていると次第にできるようになってきます。そうすると、ゆとりもでき、あがることもすくなくなってきます。今後も、自分の友達として末永く楽しんでほしい。」と、アドバイスを受けました。
おわりに
最高の音を間近かで聴き、最高の指導を直接受けたことにより、生徒達は、日頃の練習の際の意識を大きく変えたことと思います。また中には、今回のクリニックが音楽人生を大きく左右する契機となった生徒もいるでしょう。宝くじサンドスペシャル東京ポップス・オーケストラの演奏会により、地元の中・高校生に対して一流のプロからクリニックを実施していただけたことは、本当に良かったと思います。
最後になりましたが、事業を開催するにあたり、格別のご配慮・ご支援をいただきました財団法人自治総合センターをはじめ、関係者の皆様方に対し心から感謝申し上げます。