皆様方はゴミ問題というのは、地方の責任でする行政の中では、最も古いものであるということを御存知だと思いますが、現在それよりももっと地方が主体になって責任をもってするものとして、私達研究者が見ても非常におもしろいことが日本で起こっております。それは介護保険とか老人福祉の問題です。1990年に老人福祉法が改正されまして、老人福祉の問題は市町村が責任を持ってやるということになりました。それで1993年(平成5年度)老人保健福祉計画を全国津々浦々の都道府県とか市町村が計画してだすことになったのですが、これは支出面における地方分権ではないかと理解されました。というのは、自分の町にどういうニーズがあるのか、まず把握してください。それに応じて、どれだけの分量をこの年までにどれだけ自分達で準備するのか、それも計算してください。そしてそれを実施して行ってくださいということだったんです。自分の町でどれだけのニーズがあって、その時には固有のニーズがどれだけかというのも把握しないといけないのですが、そういうことをするというのは、それも全国津々浦々の市町村が一斉になってするというのは私達の国では初めてのことでした。
世界の動きを見ましても、地方行政に関わらず大きくなった政府を、できたら福祉水準を切り下げることなく、国によっては切り下げるという国もありますけれども、どのようにすれば、より満足度の高い、よりコストの低い行政ができるのだろうかという面で、いろいろな研究が進んでいます。いくつか私達が政策のプロセスを分けて見ますと、一つはその政策をどのようにやっていくかという決定プロセスがありますし、その政策を実施するのに供給主体といいましょうか、誰がそれを実施するのか。それから今までになかったことですが、非常に重要だといわれていることは、どのようにその政策を評価するのか。手段が目的合理的であったかとかそういうことが評価されますし、それから監査体制です、外部の人が、現在その地方自治体がもっているようなOBにやってもらうような監査体制はダメだということになってきておりますけれども、日本でももっときちっとした監査体制をもとうじゃないか。それから行政の消費者としての住民の権利をどうやって保護するか。そういうように行政のポイントというものが限られた予算の中でこういうふうにやっていればいいというものよりは、きちんと反省して評価していこうというふうに変わってきていると思います。
それで見ますと、先程の話に戻りますが、介護保険というのは本当におもしろいです。2000年に介護保険が実施されることになりますが、高齢者の方を地域でみていくというのは、これはさっきの童門先生のお話ではないですけれども、公的な部分と互助の部分と自助の部分がなければやっていけることではありません。