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しかし、これまで大変御努力を頂いて1次から4次にわたって勧告を出して頂き、今までの上下主従の関係から国と地方は対等の関係だという事が整理されてきた事は大変結構だと思うのですが、どうも私は地方分権推進委員会なりそういった委員会自体の在り方として、これは基より政府がこういう命題を与えてお願いした訳ですから、地方分権推進委員会に問題がある訳ではありませんが、本来は行政と民間というのはどういうふうに役割分担をしなければいけないのかということがまずあって、その中で国と地方の在り方はどうあるべきなのか、更に県と市町村はどうあるべきなのか、こういう順番で物事を整理しなければ本来いけなかったのではなかろうかと思っています。それがどちらかというと今、国の行政なり財政なりということをいかにスリムにすべきかということで、権限を地方に委譲するということは、一見綺麗ごとに見える訳ですが、それはどちらかというと国の行政をスリムにする、財政をスリムにする、しかし、その後の財源をどのようにするかという事は、あまり議論はなされていない。
地方の方に財源を分けるという大筋での話はあるにしても、それでは例えば社会資本の整備が大分進んでいる県と、本県もそうでございますが、非常に遅れている県と、それは国庫補助金を減らすにしても、いろんな財源を地方に移すにしても、総体としてどれだけ移すかという議論と同時に、そういう弱小県の取り扱い、或いは社会資本整備とか一定の行政サービスが用意、出来ていない所、それらを今後どのようにしていくのかという議論が充分になされていないような気がするわけでございます。そういうところが一つの大きな問題点として浮かび上がってきているんじゃないか。

今度、5勧告で国の直轄事業について、いろいろな議論がなされているというような事を聞いておりますけれども、そういったことも充分ご配慮頂きたいなという気が致しております。

さて、私は、これからの時代、21世紀の時代というのは自己責任時代であり、自分でまず自分の事について責任を持つ。自分の行った行為とか、発言とか、いろんな事に対して責任を持つということが基本にならなければならないと思っております。そういう意味におきまして、個性・創造・自立という事が、先程意識改革ということを申しましたけれども、地方の側の意識改革として、我々県民人一人が、そして県なり市町村それぞれの主体が、本当に骨の随に身に染む程、その三つのキーワードというものを、自らのものとして受け取っていかなければならない。そんな時代ではないか。私はそのような認識を持っております。

 

 

 

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