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森田

こんにちは。只今ご紹介いただきました、東京大学の森田でございます。私自身、今も御紹介にありましたように、地方分権に関わっておりまして、今日の「21世紀のまちづくりを考える」というパネルディスカッションは、大変意義あるものというふうに考えております。只、先程、童門先生の講演で、前座のお話であるというふうにおっしゃいましたけれども、あれほどおもしろいお話をされますと、後に続く方が大変責任が重いのではないかなと思っておりますので、どうか御協力をお願い申し上げます。

さて、このパネルディスカッションの最初に、趣旨等について、少し私の方からお話させて頂きますと、今日のテーマ自体が地方分権推進という事でございますけれども、昨年の10月までに地方分権推進委員会が、日本でいいますと明治維新、戦後改革に次ぐ3番目の改革という大規模な地方分権を進める為の改革の勧告をいたしました。先程も知事のお話にございましたように、今年の5月にそれが地方分権推進計画という事で閣議決定されました。そして、最近新聞でもしばしば書かれておりますけれども、その後を受けまして第5次の勧告を出すべく、いま分権推進委員会が取り組んでいる最中でございます。新聞ですと「難航している」とコメントを頂いておりますけれども、それはともかくと致しまして、大変大きな改革をしているということでございますので、今日のこれから行いますパネルディスカッションの前提といたしまして、今回のその地方分権の改革というのがどういうものか、簡単にお話をさせて頂きたいと思います。

今、5次勧告に取り組んでいるというふうに申し上げましたけれども、これまでの4次勧告と今予定しております5次勧告とは、ちょっと内容が違ったものというふうに御理解頂きたいと思います。4次勧告では、これまでの日本の中央集権的なと言われておりますけれども機関委任事務制度を中心とする、これまでの地方行政の仕組みというものを大きく改める。
そして地方に分権し、地方の自己決定権を拡充するというのが狙いでございました。第5次勧告は、それに更に加えまして、国の行革との関連でございますけれども、国が行っている仕事を更に地方に移そうというものでごさいます。4次勧告までを第1ラウンドとしますと、5次勧告以降は6次勧告が出るのかも知れませんが、第2ラウンドであり、やや主格が違ったものではないのかなと思います。4次勧告まではじゃあ何をしたかと言いますと、一言で申し上げますと、これまで国と地方の関係といいますのが、分権推進委員会の表現を使いますと、「上下主従の関係」と呼んでおりますけれども、国が上にあって地方がそれに従う。主人と部下の関係である。従者の関係である。そういうふうに位置づけられていたわけですけども、それを対等協力の関係に変える。同じ立場で議論が出来るような関係にするという事でございます。

 

 

 

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