時間がなくなってからの作業でかつ若手がやることが多いもんでやはり事故が多い。ですからこれから出来るホールあるいは改修の余地があるならば足場を作ってもらうのが一番なんですけど。
(綱元のシズ積み込み)
綱元のシズの積み降ろし作業というのがあります。最近の劇場はフライギャラリーがないところが非常に多くなってきました。そういうところは、シズの積み込みを舞台に降ろしていっぱい積み込んで今度はロープで引かなきゃならない、極度のアンバランスが起きます。で操作ミスによってシズがどんと落ちてバトンが跳ね上がるという事故が起きます。昔はフライャラリーは必ずあったもんなんですけどね。
(客席上のバルコニーライト)
よく客席の両サイドとかにあるんですが、脚立で作業するしかありません。でも下に椅子があったりして脚立をちゃんと広げられずに不安定になった状態で作業したりというのがあります。できれば足場をちゃんと付けてもらいたいと思います。あとはここのスポットだけはリモートコントロールにしてもらいたいと思います。
(多目的ホールの固定サスバトン)
バトンが固定されているので、自由にできない。取り付ける足場と60センチくらい離れているものがあります。これはとても危ないですね。あと天井からの距離が近くて作業しづらい所もあります。私たちは滑車を使ってロープで上げるようなことをしていたんですが最近の人はあまりやらないですね。イントレにしても3,4人かかって手渡しでやる。でイントレがバランスをくずして倒れるということもあります。いろんな形で要望していって安心して仕事ができるようにもっていかなければならないと思っています。
(事故の際のチーフの責任)
最後に、名古屋での事故の話をしたいと思います。先ほどもいいましたがうちの社員がフライブリッジから落ちて死亡しました。安全ベルトをしていれば問題はなかったことはわかっています。
まずは警察の取り調べがありました。で刑事事件とは起訴しないということになりました。次が労基署です。労基署は結局起訴しました。安全配慮をしなかった会社の責任、そして実際に安全についての指示をしなかったチーフの責任ということになりました。
実際の作業では、チーフがそれぞれの技量を見て「あんたブリッジに昇りなさい、あんたピンね」とか指示するわけです。ここに責任が来たわけです。チーフのしなければならない配慮についてこれからは考えねばならないと思いました。
例えば、工事現場の現場監督は作業自体はやってないんですよね。でも照明のほうではチーフは仕事の要員に入っている。だいたいチーフというのは作業をする。でも舞台ではなくて、まず調光室に上がっちゃうんですよね。これでは舞台での作業の監督はできません。これはやっぱり間違いだろうと最近思うようになりました。
でも「オレは照明だけをやりたいんだ」というチーフもいると思います。そういう時は別に安全管理のための監督を付けるということになりますが、それではうまくいくわけがありません。
ですから、もうひとりサブチーフというようなものを確立して、だれか安全管理を見通せる人を配置するというようなことをこれから考えていこうと思っています。