信号に関する接地に対する法規による規制はないが、ノイズ障害、安定した基準電位のためには不可欠な設備である。舞台照明設備の中で信号に関する接地が必要な箇所は、調光卓とサイリスタ調光器の信号ライン基準線やシールド線のシールド部、リモート照明機器の信号部等である。この信号に関する接地について、必要条件は下記の通りである。
1] 信号回路の接地極は他の設備に用いられている接地極と共用しないこと。
2] 舞台照明、舞台機構、舞台音響の接地極はできる限りそれぞれ独立した接地極を設けること。
3] 信号に関する接地は保守接地に接続したり混触しないようにすること。
したがって、それぞれの設備について保守接地、信号に関する接地の2系統の接地極が必要となる。
設備の改修にあたっては充分配慮しておく必要がある。もし、1系統の接地極しか得られない場合でも、設備内においては安全接地と信号に関する接地とを分離して施工し、1箇所の接地端子台において2系統の接地を同一接地極に接続することが望ましい。
4. あとがき
以上、公共ホールのコンセプト、照明設備の動向及び各種の安全に関する規格の紹介について述べた。
公共ホールの改修にあたっても、改修のコンセプトの充実をはかることが最も重要であり、このコンセプトと種々の安全規格の整合性をはかることが最も重要な課題であると考えられる。
以上