5. 改修計画時の留意点
新設のホールに設置する場合と比較して種々の制約があります。過去の改修工事の経験から見て次の点に注意が必要と思われます。
1) 改修内容にあわせた工事計画
休館時を利用して改修工事を施工いたしますが、通常比較的短い期間となります。
施工に当って、作業周辺部養生、足場設置、重機の設置、撤去品の搬出、新設品の搬入、据付、調整、検査等手際よく順次施工することとなりますが、応々にして何らかのトラブルで遅れることがあります。
そのために事前に搬入計画、仮説計画、着生計画、施工計画、検査調整計画等を打合せする事が重要であります。
例えば、搬入口のサイズ、搬入条件の打合せを行い搬入サイズ、搬入経路、トラック重量等を決める。
改修しない部分の養生をどのようにするか、幕及び照明機器の養生をどのようにするのか、工事用の足場はどのようにたてるのか、新設品の搬入、撤去品の搬出はどこからどのようにして施工するのか等をホール関係者と十分打合せを行い、無理のない工事計画を立案することが必要となります。
また、工事完了後の運用維持管理のために、施工業者(メーカー)とホール管理者、担当者との取扱説明を含めた打合せと、研修は重要かつ十分な日時を取る必要があります。
2) 十分な事前調査
新設のホールに装置を施工する場合、設計事務所、関係業者とメーカーとは、工程に合せて打合せを行い、施工致しますので、建物及び関連する設備については熟知することとなり、また時間的な余裕もあるためトラブル時の対処も可能となります。
改修工事の場合、十分な事前調査がない等のトラブルが発生致します。
これらを防ぐためには十分時間をかけて細部にわたって調査することが必要となります。
また、施工上の問題とは別に、電源容量等の確認、振動、防音対策の必要の有無等も調査する必要があり、ホール担当者と協議させていただく事となります。
3) 建物の調査
改修を計画されるホールが古い場合、建物自体がもたないという場合が応々にしてあります。
最近の舞台装置は、大型化、重量化している関係上、それを支えている柱、床、梁等に大きな負担をかける事となります。
たとえばブドウ棚を吊下げている天井部梁や外周部の柱、壁面がもたないという場合です。全体の設置台数、重量を考慮して、必要に応じて建築設計事務所、建築施工業者と協議する必要があります。
4) メンテルート、メンテスペース
新設の建物に装置を設置する場合、その装置へのメンテルート、メンテスペース等は、必ず検討を行い、建築及び関連する設備(空調ダクト等)との調整を行い、必要に生じてキャットウォーク、タラップ、スノコ、天井開口、手摺等の設置を依頼及び施工しております。
改修工事の場合、建物の関係上、ダクト等の配置上、メンテルート、メンテスペースの確保に支障をきたす場合、及びキャットウォーク、タラップ等の設置が出来ないという事が応々にしてあります。
メンテナンスは運用、維持、管理上絶対必要であります。安全な無理のないメンテルート、メンテスペースの確保と適切なキャットウォーク等の設置を念頭に入れた装置の配置計画が重要であります。