講義・研修
「ホールの管理委託と舞台技術」
ホール運営総合アドバイザー 辰口 共衛
〈研究内容〉
1.ホール(劇場)は大勢の人からなる「芸術の発表の場」である。
ホール技術そのものも大切であるが、ホールに携わる人々のコミュニケーションが大切である。
2.ホール技術の方は、各自のホールの設備内容を確実に把握しておくこと。
3.ホール管理責任者の方は、ホール内で行われている催物について、常にホール設備内容に適切に行われているか否かを把握しているように。
4.ホールの事務担当者であっても、ホールの一員である。ホール設備内容及び一般的に使用される舞台用語は、熟知しているように。
5.「使いやすいホール」とは。
【講演内容】
ホールはどなたでも使用できる会場であるため、その会場の使用規定の範囲内で許されている使用方法については、ホール関係者は全部マスターしていないといけないところである。又、舞台上では重量吊物が多いため危険この上ない。
ホール使用の専門者だけでの使用で有ればよいが、舞台上では、ホールの常識も知らない人も出演することも有るので、これらの人達を色々と指導しながら舞台進行をしていかなければ成らないことが、舞台技術者が必要と成るところである。
又、開場前から総合ロビー出入口前にお客が集合して、開場時には一斉に客席内に走り込み、我先にと席取りが始まる等、事故の無いようにと管理・運営には皆さん頭を悩まして居られると思います。
さて、題意の「ホールの管理委託と舞台技術」についてですが、個人的な見地から言わせて貰うならば、各自治体が管理・運営を行うのが望ましいと思いますが。
しかし、それぞれ各館ごとに事情があり、現在では色々な方法で管理・運営を行っているのが実情ではないでしょうか。
現実には、技術者の育成には「お金と時間」が掛かるのが現状で、一般的に3年もやれば一人前とよく言われるが、一つのジャンル、又は同じようなジャンル(例えば、クラシック系統、歌舞伎系統等)の物だけであれば好いのですが、貸ホールの場合には色々な内容の催物が複雑に絡み合った催し内容も有るため、オールマイティーな技術と知識が要求されてくる。各館の事情やホールに対する考え方もあると思いますが、幅広く知識、技術を備えた技術者を置くことが望ましいと思います。しかし、技術者は一日二日では育ちません。一人前になるまでの技術者は時間が掛かります。
それでは、管理を委託する場合には、契約時にそのようなこと(技術者の技術レベル)を「書面にすればよいではないか」と行政ではすぐに言いますが、これにも問題が有ります。それは技術の証明基準が確立されていないためです。一般的には経験何年やっていると言ったことでまかり通っていますが、経験何年と言っても修行の場によって大きく違って来ます。
◎ホールの使用率の高い所と低い所の差
使用率=使用された日数/1ヶ月の日数
使用率=使用された区分/1ヶ月の区分
※使用率と言ってもホールによっては率の出し方が違っている。
私がおりました所は、平成5年4月が最高で利用率100%でした。平成5年10月、平成6年10月で夜間の1区分だけが空いていただけの98.9%でした。尚休日は基本的に8月14日〜16日と12月28日〜1月3日の2回でした。