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中之又の谷を溯って行くと、それぞれ小さな集落にぶつかり、そこで道は途切れる。その集落の奥手に、「鹿倉様」を祀る鹿倉神社がある。たとえば、屋敷原集落の鹿倉様は屋敷原鹿倉神社であり、筧木(ひゆうぎ)集落の鹿倉様は筧木鹿倉神社であり、弓木集落の鹿倉様は弓木鹿倉神社等々である。「鹿倉」とは、狩りの領域であり、「鹿倉様」とは鹿狩りの神様である。中之又の鹿倉神社は、鹿狩りの神事である「鹿倉祭り」を伝えており、年に一度の中野又神社の大祭には、神楽が奉納され、その演目のひとつととて「鹿倉舞」が奉納される。私は、その鹿倉祭りと中之又神楽を取材するために中武福男氏を訪ねたのだったが、まさかそのご本人にこのようなかたちで出会うとは思ってもいなかったのである。

 

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照葉樹林に被われた鹿倉神社

 

 

 

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