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◎木浦の獅子場祭◎

 

このような氏神祭りに旧家で『モリ』という人形御幣を祀ることを続けているのは、同じ西米良村の小川米良神社を中心にした所と、かつて東米良といわれた西都(さいと)市銀鏡(しろみ)地区などである。

西米良村、小川米良神社の宮司・河野義勝さんも、新暦十月から十二月の大祭(神楽の日)まで、三十数世帯、各家の先祖やその家のもっている神さまを一堂に祀る祭事を司祭される。小川では、村所のように「氏神祭り」に統一されてなく、「獅子場祭」「鹿倉祭」「山神祭」と、呼称がそれぞれに異なり家ごとや地区の祭りになっていて興味深い。

なかでも地区の祭りになっている木浦の「獅子場祭」は、その祭り方帳を河野さんに見せて頂くと、

獅子場祭(鹿倉山)

「一、觀上幣 一本 一、十一面(モリ)モリを大神へハサム 一枚 一、稲荷 一本 一、オコゼ 一本 一、ノト幣(ノト祓)一本 一、大神幣 一本…」など九種類三十九本の御幣が用意される。ここではモリとカナで表記され、十一面と称される横長の人形御幣である。木浦地区では、一軒一軒個人の旧家ではモリを祀らず、十一軒のモリを獅子場祭で合祀しているようである。河野さんは、祭りの前日これらの御幣を半紙を彫って作られる。

 

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木浦の獅子場祭の祭場。シメ縄の中心につけてあるのが「オコゼ」の御幣。左上が「十一面モリ」

 

 

 

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