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港まつりは一週間後に行われるが、その気配は全く感じられない静かな街である。さらに道路の占める割合がものすごく大きく感じられ、それが一層心細い感を掻き立てる。

先ず市役所へ行き、見世物小屋や露天商が設置される場所を確認し、現場を訪れた。歩道に沿って電気の配線が巡っており、だらしなく下がっているソケットが、近々祭りが行われるのだということをゆいいつ教えてくれる。オートバイサーカスの現場は、歓楽街に隣接する栄町公園である。ほぼ三〇メートル×四〇メートルの一二〇〇平方メートルの広さである。

私は、公園を窓から見下ろせるビジネスホテルに宿を決めた。すぐにサーカスの責任者が釧路に到着し次第、取材を申し入れなければならないからである。

このオートバイサーカスは、以前キグレ オートバイサーカスといっていたが、現在、ワールドオートバイサーカスと名を改めている。その一団が旭川から到着したのは、午後八時を廻った頃である。四トン車二台、八トン車一台、そして四輪駆動などの乗用車三台の大部隊であった。あいにく最高責任者は未到着で会うことはできなかった。翌日、朝八時頃から作業を始めるというので、翌日に期待をかけた。

 

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折りたたみ式の柱を組み立て、樽を作り始める。すべて木製である。山川さんの代になってからこの資材は二代目である

 

 

 

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