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・マスタープラン作成に関する必要な財源措置も必要である。

 

【第2段階】広場・公園整備より始めよう

次のステップでは順次整備に取りかかるものとするが、まずは人が集まりやすいように広場や公園の整備より着手すればどうかと考えられる。それにより、旧中林綿布工場のことを多くの人に知ってもらうことになるし、既存建物の活用にも参加してもらえる契機となる。補助的にも公園整備に対しては予算措置も取りやすいと考えられる。とにかく、多くの人に工場を知ってもらい、多くの人が具体的に使いこなすなかで必要な施設イメージも確立していくものと思われる。もちろんこの段階でも「(仮称)赤煉瓦工場の保存と活用を進める会」の果す役割は大きい。この段階では、マスタープランに基づいた具体的な整備計画がまとまっていく必要がある。

 

【第3段階】使いながら施設整備を進めよう

この段階に入ると、具体的な施設を順次建設していく段階となる。それも一気に建設するのではなく、既存施設を使いながら、徐々に整備を進めるようにしたい。保存活用整備を図る上においては、全て業者まかせにしないで、ボランティア作業で皆の手作りで出来るところを用意するなど建設そのものを一つのイベントとして取り組むのも一つの方法である。

 

2] ソフト計画

現代の施設作りではソフトなシステムや組織、イベント等の果す役割が極めて重要である。立派な施設でなくとも、活き活きとした中身があれば素晴らしい施設と言える。旧中林綿布工場の保存活用はその場の提供と考えてよい。

活発な使いこなしがあり、いわば「柿の実が熟して落ちるように」そのための必要な施設が整備されるというのが理想であろう。その重要なソフト計画にたいする若干の提案を行う。

・何といってもまちづくりに対する中核的な組織の育成がもっとも大きい課題である。「(仮称)赤煉瓦工場の保存と活用を進める会」のような組織を是非とも育成したい。

・将来的には、施設整備が完了しても、その維持運営管理の中核としての役割を果たしていくようにすべきである。

・この時には、町も含めた第3セクターとしての組織形態をとることも考えられる。

・使いこなすことが第一であるが、そのためには、各種サークルやクラブの育成も重要な課題である。熊取町の住民だけでなく、町内の大学・企業、さらには泉州地域の幅広い交流の場となれば最適である。

・体験的施設として、伝統技術や繊維産業の技術伝承の人の力も借りたい。

・周辺の歴史・文化ゾーン及び工場・中家をガイドするボランティアガイドの育成にも努めたい。

 

とにかく、旧中林綿布工場は熊取町の歴史を学び、様々な活用が考えられる素晴らしい資源である。施設整備がなされるだけでなく、その施設のなかで活き活きとした活動をしている多くの人達が見られ、訪れた人達と幅広い交流が生まれる――そういう保存活用となることを期待するものである。

 

 

 

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